現代人の脳には“毒”が溜まっている!
無意識に溜まった脳の“毒”を出して
脳がみるみる若返る食事法を紹介する

脳の若返りと認知症治療の専門医・白澤卓二医師が提案する衝撃の最新刊『脳の毒を出す食事』では、現代人の脳に溜まった毒を出し、脳の機能を上げる食事法を紹介している。
現在、認知症患者数は増加の一途。その発症を避けるには、40代からの脳のケアが大切だと著者はいう。本書では世界最新の医学で明らかになった認知症予防・改善策と、その研究からわかった脳のパフォーマンスを上げるために必要な食事を提案する。

ドーピング禁止理由の副作用、<br />アスリートでなくても<br />注意すべき理由とは?Photo: Adobe Stock

「薬のいらない体」を目指して

医薬品には副作用があります。ごく軽いものから重篤な副作用まで深刻度はさまざまですが、薬は体にとっては異物であり、すなわち毒です。ケガや病気で必要になることもありますが、知識として医薬品は毒であることを知ってください。調子が悪くて病院に行ったのに薬を処方してもらえなかったと残念に思う方がいるかもしれません。ですが、私に言わせれば必要のない薬は処方するべきではありません。患者さんも安易に薬に頼るべきではありません。

市販の薬でも同じです。歯が痛い、頭痛がする、生理痛が辛いときに市販の痛み止め(消炎鎮痛剤)を飲んでいませんか?「薬は毒だけれどもこの場を切り抜けるには飲まないとしょうがない」と断腸の思いで服用するのと、「痛いから、辛いからとりあえず飲んでおこう」というのはまるで違います。歯が痛む前に歯科で定期的に検診を受ける、頭痛の原因をできるだけ取りのぞく、生理痛をやわらげる方法を見つけておくというだけでも薬の服用量を減らせるのではないかと思います。

健康に気を配ることが、結局は近道

痛み止めや一部の風邪薬には、アセチルサリチル酸やイブプロフェンという成分が含まれています。この2つは細胞の中のミトコンドリアの機能を低下させることがわかっています。ミトコンドリアはひとつひとつの細胞にある電池のようなもので、ミトコンドリアの機能が低下すると、細胞がエネルギー不足になって働きも低下してしまいます。私たちの体は細胞の集合体ですから、細胞の働きが鈍るということは体の機能が低下することにつながります。薬を服用して一時的に痛みや辛さがやわらいだとしても、それと引き換えに全身の機能が下がってしまうのは本末転倒ですね

ほかに身近な薬としてコレステロールを下げる薬であるスタチン、血圧を下げる血圧降下剤、糖尿病の治療薬、抜歯したあとや感染症に対して処方される抗生剤、逆流性食道炎の治療薬として処方されるプロトンポンプ阻害薬などがありますが、これらもすべて毒となります。アルツハイマー病の治療法であるリコード法を提唱しているブレデセン博士も警鐘を鳴らしています。また、生活習慣病の薬などを長く飲み続けることで、アルツハイマー病をはじめとする多くの病気を招くと指摘する専門家や医師も増えています

健康診断の結果を大切に保管しておいて、体の変化を自分の目で観察することも必要です。数値が少しずつ悪くなっているようなら、食事を変える、運動量を増やすなど薬に頼る前にできることをはじめることが大切です。コレステロール値や血圧が基準値の上限に近づいてきたら、医師に指摘される前に生活習慣を見直すのが最良の方法です。

コレステロール値については、低い人の方が死亡率が高いというデータもあります。ブレデセン博士は、総コレステロール値が150mg/dl未満になると脳が萎縮する可能性が大きくなることも指摘しています。閉経後の女性では悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が高くなる傾向がありますが悪玉コレステロールが基準値を30超えた程度なら薬は不要でしょう。もちろん、医師の指示を守ることは必要ですが、できるだけ薬に頼りたくないことを理解してくれる医師をかかりつけにすることも重要です

本原稿は、白澤卓二著『脳の毒を出す食事』からの抜粋です。この本では、認知症など脳の機能不全の原因となる、現代人の脳に溜まった“毒”を出して究極の健康体になる食事法の提案と、実生活で使える7日間実践レシピを掲載しています。脳と体を健康にし、本当の意味での健康長寿を目指してみませんか?(次回へ続く)

監修 お茶の水健康長寿クリニック院長 白澤卓二先生
1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大学院医学研究科博士課程修了。現在、お茶の水健康長寿クリニック院長。
ドーピング禁止理由の副作用、<br />アスリートでなくても<br />注意すべき理由とは?

白澤卓二(しらさわ・たくじ)
医師、医学博士
1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大学院医学研究科博士課程修了。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て、2007年より2015年まで順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。2017年よりお茶の水健康長寿クリニック院長、2020年より千葉大学予防医学講座客員教授就任。日本ファンクショナルダイエット協会理事長、日本アンチエイジングフード協会理事長、アンチエイジングサイエンスCEOも務める。
専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリートの遺伝子研究。