現代人の脳には“毒”が溜まっている!
無意識に溜まった脳の“毒”を出して
脳がみるみる若返る食事法を紹介する

脳の若返りと認知症治療の専門医・白澤卓二医師が提案する衝撃の最新刊『脳の毒を出す食事』では、現代人の脳に溜まった毒を出し、脳の機能を上げる食事法を紹介している。
現在、認知症患者数は増加の一途。その発症を避けるには、40代からの脳のケアが大切だと著者はいう。本書では世界最新の医学で明らかになった認知症予防・改善策と、その研究からわかった脳のパフォーマンスを上げるために必要な食事を提案する。

脳が活性化するストレス解消法!<br />怒りを感じたら、体を動かそうPhoto: Adobe Stock

「自分の楽しみ」を見つけてストレス解消

気分がうつうつとしたり、もやもやとした気分が晴れないとき、ストレスが溜まっていると感じることがあると思います。ストレスとは、自分の許容範囲を超えているのに、自分のいつもの精神状態を維持しようと頑張っている状態のことです。

体も同様に平常時のレベルを超えたところで、身体機能を維持しなくてはならない状態になるとストレスがかかります。糖尿病では、血糖値が高いという異常事態が1日に何度も起きます。すると、そのたびに体にはストレスがかかるという具合です。お酒を大量に飲めば肝臓はアルコールを分解するために大忙しになります。肝臓はいつもの仕事量よりもずっと多い仕事をこなさなければならず、ストレスがかかることになります。

ストレスが体に悪影響を与えるのはご存じの通りですが、脳の毒という観点からすると、ストレスがコルチゾールというホルモンを過剰に分泌することが問題です。コルチゾールは量が適切ならば、肝臓でたんぱく質から糖をつくる、筋肉でたんぱく質を代謝する、脂肪組織で脂肪を分解・代謝する、炎症を抑える、免疫をコントロールするなどの働きをしますが、一定量を超えると脳にダメージを与えます。

ストレスで神経細胞のネットワークに不具合が出る

他にも過度なストレスがかかると神経細胞から出るアドレナリンやドーパミンなどの神経伝達物質が必要以上に増えて、神経細胞のネットワークに不具合が出ることもわかっています。

ストレスから解放されるには、

・嫌なことは忘れる
・怒りを感じたら体を動かす
・会いたい人に会う(苦手な人に誘われたらていよく断る)
・好きなことに没頭する
・好きな俳優や芸人が出ているテレビ番組を観たり、好きな歌手のライブに出かける
・人目を気にせず、したいことをする

など、他人のことを忘れて自分が思いっきり楽しむことが大事です。

私はこれまでに多くの元気な高齢者に会ってきましたが、みなさん「いまを楽しく過ごす」「これから楽しみたいことを見つける」のが得意です。

ちなみに私は40歳からピアノを、50歳からフルートを始めました。私にとって仕事は楽しみなので、仕事のストレス解消ではなく、純粋にピアノを弾きたい、フルートを演奏したいという気持ちから習い始めました。楽器演奏に没頭している時間は至福のときですし、何歳からでも新しいことを始めるのは脳によい刺激を与えます。ストレスを解消しようと思って始めたことが、脳の毒を出すことに止まらず、脳を活性化する良薬になることもありますよ。

本原稿は、白澤卓二著『脳の毒を出す食事』からの抜粋です。この本では、認知症など脳の機能不全の原因となる、現代人の脳に溜まった“毒”を出して究極の健康体になる食事法の提案と、実生活で使える7日間実践レシピを掲載しています。脳と体を健康にし、本当の意味での健康長寿を目指してみませんか?(次回へ続く)

監修 お茶の水健康長寿クリニック院長 白澤卓二先生
1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大学院医学研究科博士課程修了。現在、お茶の水健康長寿クリニック院長。
脳が活性化するストレス解消法!<br />怒りを感じたら、体を動かそう

白澤卓二(しらさわ・たくじ)
医師、医学博士
1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大学院医学研究科博士課程修了。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て、2007年より2015年まで順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。2017年よりお茶の水健康長寿クリニック院長、2020年より千葉大学予防医学講座客員教授就任。日本ファンクショナルダイエット協会理事長、日本アンチエイジングフード協会理事長、アンチエイジングサイエンスCEOも務める。
専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリートの遺伝子研究。