北京五輪がデジタル元の実験場に、米ビザに苦悩Photo:VCG/gettyimages

 北京冬季五輪で米クレジットカード大手ビザに強力なライバルが現れている。

 ビザは数十年にわたり、スポンサー契約を通じて五輪会場で独占的に決済サービスを提供してきた。ところが今回の北京五輪では、中国の新たな電子通貨「デジタル人民元」との「共演」を余儀なくされている。

 中国はデジタル決済の分野で世界の先頭を走ってきた。アント・グループ、テンセントがそれぞれ提供するモバイル決済サービス「アリペイ(支付宝)」と「微信支付(ウィーチャットペイ)」が市民の生活に深く浸透し、キャッシュレス化を推進してきたためだ。そのため、現金が時代遅れとなりそうな動きを警戒した中国人民銀行(中央銀行)が2019年終盤以降、小規模なデジタル元の試験運用を進めてきた。

 過去の五輪では、現金かビザでの支払いの二つが決済手段として認められていたが、2004年のアテネ大会以降、現金の利用は急減し、ほぼすべての決済がビザへと移行した。内情に詳しい関係筋が明らかにした。

 こうした傾向は2022年の北京五輪でもおおむね続いている。ビザの独占スポンサー契約により、アリペイやウィーチャットペイを含め他の電子決済手段は利用できないためだ。