メダル量産のノルウェー、スポーツ賭博が下支えPhoto:Ian MacNicol/gettyimages

【北京】冬季五輪の時期になると、メディアがノルウェーの驚くべき強さの秘密に迫ろうとする。同国は人口が米国のウィスコンシン州よりも少ないが、五輪のメダル獲得数でトップに立つ。

 しかし秘密の中には、米国人には特に理解しがたいものもある。それは子どもの育て方にも、選手の育成方法にも、ノルウェーが幸福度や健康を測る世界ランキングで常に上位に入っていることにも何の関係もない。

 それは、ノルウェーのスポーツチームがスポーツ賭博の収益金に支えられていることだ。

 ノルウェーでは賭博や宝くじ、カジノゲームの収益金がスポーツインフラや育成システム、五輪選手用のトレーニングセンターを支える柱の一つになっている。昨年は3億6000万ドル(約415億円)以上がユースシステムからナショナルチームまで、ノルウェー各地のさまざまなスポーツプロジェクトに分配された。五輪には約2000万ドルが割り当てられた。

 ノルウェーのスポーツ賭博の仕組みを理解する手っ取り早い方法は、米国の合法賭博に関する知識を全て頭から追い出すことだ。ノルウェーのスポーツ賭博を管理しているのは、カジノやブックメーカーではなく、国有会社ノルスク・ティッピンが運営する独占事業体だ。ノルスク・ティッピンは生じうる損失を制限し、無責任な行動を防ぐために厳しく規制されている。しかもノルウェーのスポーツ賭博にはこれ以上に変わった仕組みがある。