サウナが大ブームとなっている昨今。北海道大学医学部の先輩・後輩の関係でもあり、ともにサウナと人体を知り尽くしたサウナ愛好家の医師2人による対談が、ついに実現!
「医者が教えるサウナの教科書」の著者・加藤容崇氏と、加藤氏の先輩で加藤氏をサウナの沼に引きずり込んだ形成外科医の塩谷隆太氏が、サウナはなぜ身体にいいのか、サウナが気持ちいいのはなぜなのか、を医学的に解説しながら、行き過ぎたサウナブームにも警鐘を鳴らす!
(写真 疋田千里 構成 井上敬子)

【塩谷隆太×加藤容崇 対談】後編<br />2人のサウナー医師が一刀両断!<br />インチキ記事に気をつけろ! 塩谷隆太医師(左)と加藤容崇医師(右)

間違った情報に要注意!

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――サウナが大ブームでいろんな情報が出てますが、間違った情報も増えているとか。

塩谷隆太氏(以下塩谷) そうなんですよね。一例をあげると、「あまみ」(サウナ・水風呂の直後に現れる赤い斑点)がととのった証拠だという説があるんですが、自律神経と血管の収縮・拡張機能がうまく働いていることを示唆する現象ではあるものの、あまり追い求めるようなものではない。

加藤容崇氏(以下加藤) でも、それを信じて、ひたすら、たくさん出るまで入って、血管炎になっている人がいるんですよね。

塩谷 やけどに近い、毛細血管の破綻が起きていることもあります。普通の毛細血管の拡張・収縮による「あまみ」なら数分~数時間で消えるんですが、たまに本当に毛細血管が破綻しちゃうこともある。時々、友人から「これ大丈夫?」と写真が送られてくるんですが、身近な友達だけで、そういったケースが2例あったんで、潜在的にかなり起こってるんじゃないかと。

加藤 「サウナが二日酔いにいい」というのも、いまだ信じてる人いますね。全然よくないし!

塩谷 体感的には、すっきりするんでしょうが、本質的な意味で、アセトアルデヒド分解しているわけではない。すっきりするのは、サウナの別の作用ですっきりしたように感じるだけ。

加藤 お酒を飲んだ後にサウナに入るのはアセトアルデヒドの血中濃度が上がちゃうんで、逆によくないです。水をいっぱい飲むことのほうが大事。

塩谷 デトックスもウソですね。デトックスは医学用語じゃないし、その定義ってなんですかって、聞き返したいよね。

加藤 「毒素が出ていく」じゃないですか。じゃあ、あなたの毒素って、なんですかと。

塩谷 皮膚表面に付いている有機溶剤とかなら、もしかしたら、ごく微量程度落ちるかもしれませんが(笑)。

加藤 汗の中に、毒素がふくまれてたらエライことですよ。