「死別型おひとり様」は要注意、2022年制度改正で老後の年金はどう変わる?写真はイメージです Photo:PIXTA

誰でもおひとり様になる時代に突入する中、日本ではいまだ独身者には税金面などで不利になることが多く、経済的、精神的な負担が年齢とともに増えます。おひとり様用の制度、金融商品が少ない中、この連載ではおひとり様ならではの注意点や不利にならないよう制度をうまく利用しながら老後の資金を貯める方法などを紹介します。今回は2022年制度改正によって、おひとり様が気を付けるべきことを解説します。(生活経済ジャーナリスト 柏木里佳) 

おひとり様の病気リスクは高い!?
年金対策をしっかり考えて

 おひとり様といえば、生涯独身を貫くだけでなく離婚、死別によりいつの間にかおひとり様になった老後おひとり様も増えています。国勢調査では65歳以上のおひとり様は2割、東京でいえば26.1%です。

 年を取れば、保証人になってくれる人も減り、施設入所やマンションの賃貸だけでなく、購入にも住宅ローンなどの審査が厳しくなります。また、シェアハウスや見守りサービスも十分に普及しておらず、遺産の整理なども業者がする例が増えます。

 このような状況なので、おひとり様の場合、人一倍、健康管理を自分でしっかりしていく必要があります。既婚者に比べ、男女ともに死亡リスクが高く、循環器、呼吸器、ガンのリスクが高いという論文も複数発表されているほどです。病気になった場合、生活基盤が脅かされるという不安もあるでしょう。

 そんな中、2022年に改正健康保険法が施行され、病気・ケガをした場合にもらえる傷病手当金の支給期間が「通算」で1年6カ月になりました。

 病気が長引いても1年6カ月を超えると受給できなかったのが、今後は、病気で休んだ期間だけのトータルで1年6カ月までになり、ゆっくりと復帰できるようになります。この期間、給与の約3分の2が傷病手当金としてうけとれますので、パートナーの収入があてにならないおひとり様には朗報です。

 ただ、おひとり様には病気で働けなくなるリスクも高いため、就業不能になったときのためにこういった保険を手厚くするなど備える必要があります。具体的な内容は次回以降でお伝えしますが、逆に子どもがいない場合は死亡保険金は不要などというように、おひとり様用の保険を選ばないと損をします。おひとり様は、自分の特徴を考えて制度や商品を選ぶことが重要です。

 病気をしたときだけでなく年金の受け取りにも注意が必要です。国民年金の受給額が年間で3108円減るのですが、おひとり様の生活も厳しい状況になります。