コロッセオローマを理解することで、日本という国が歩むべき道を考えるきっかけになる?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

レビュー

 ローマ(ローマ帝国)と聞いてどのようなものが思い浮かぶだろうか。映画などで頻繁に取り上げられてきたイメージしかり。ローマの公衆浴場を舞台にした漫画『テルマエ・ロマエ』でローマに触れたという方もいるだろう。

ローマ帝国とは何だったのか?現代人に送る建国から滅亡までの1200年の教訓『はじめて読む人のローマ史1200年』 本村凌二著 祥伝社刊 1016円(税込)

 しかし、初めてローマを学ぶ方は、ローマが市民による投票を前提とした共和政を採用していたことや、法で定められた市民権といった統治手法の高度さに目を見張るはずだ。そして、強力な軍事力を背景にあまりにも広大な帝国を築いた。これは日本が縄文時代や弥生時代のことであり、そこまでの国家として成立していなかったことを考えると、その差に愕然とする。「賽は投げられた」や「ブルートゥス、お前もか」といった明言で知られるカエサルをはじめとした多くの登場人物の活躍も、ローマを彩っている。

 本書『はじめて読む人のローマ史1200年』は、1200年に及ぶローマの膨大な歴史を、共和政や軍事力、宗教といった7つの「なぜ」に答える形で解説する。一読するだけで、建国から滅亡に至る長大な歴史を読み解くことができるはずだ。コロッセオでおこなわれた「剣闘士試合」や、公衆浴場「テルマエ」といった、映画や漫画の題材になったものについても、そのルーツに迫ることができる。