クラシック音楽全史 ビジネスに効く世界の教養Photo:123RF

ダイヤモンド・プレミアム(有料会員)ならダイヤモンド社のベストセラーが電子ブックでお読みになれます!月ごとに厳選して提供されるダイヤモンド社の話題の書籍から、ここでは一部を抜粋して無料記事としてお届けします。全体をお読みになりたい方はぜひダイヤモンド・プレミアム(有料会員)にご登録ください!今回は2022年3月提供開始の『クラシック音楽全史 ビジネスに効く世界の教養』。紀元前から21世紀の日本まで、クラシック音楽の流れがざっくりわかる1冊です。音楽家の人生と名曲の背景から、歴史がわかり、会話が弾みます!

はじめに

 ソニー創業者の故盛田昭夫さんが、かつて東京フィルハーモニー交響楽団の会長を務めてくださった時期(1982~99年)がありました。当時、ソニーは海外進出を進めており、盛田さんは頻繁(ひんぱん)にアメリカへ営業に出かけられたそうですが、「エコノミック・アニマル」と揶揄され肩を落として帰って来られたとか。

 ところが、東京フィル会長の名刺を出すようになると、周囲の態度がガラッと変わってニコニコしながら握手を求められたそうです。盛田さんは、それを機に東京フィルの経営により強い関心をもつようになり、理事会も欠かさず出席されました。数億円規模の個人寄付もしてくださるなど、東京フィルへ抱いた熱意と多大なる貢献には今も頭が下がる思いです。同時に、世界のビジネスサロン界における、クラシック音楽への造詣の深さや、オーケストラという芸術に対する尊敬の念が垣間見られるエピソードではないでしょうか。「音楽」は、古代ギリシア時代に賢人プラトンが創設した学園アカデメイアでも教えられていました。酒席においては、談義を経て、食事をし、吟遊詩人たちが奏でる笛やリラを聴くのが市民のたしなみとされたそうです。

 その流れを受け、中世ヨーロッパの大学では、文法・修辞学・弁証法の3学と算術・幾何・音楽・天文学4学科の自由7科をリベラルアーツと設定しました。現代のハーバード大学やスタンフォード大学でも、教養科目として音楽が教えられています。