過去の成功例が通用せず、優れた手法はすぐに真似される「正解がない時代」。真面目で優秀な人ほど正攻法から抜け出せず、悩みを抱えてしまいます。リクルートに入社し、25歳で社長、30歳で東証マザーズ上場、35歳で東証一部へ。創業以来12期連続で増収増益を達成した気鋭の起業家、株式会社じげん代表取締役社長執行役員CEO・平尾丈氏は、「起業家の思考法を身につけることで、正解がない時代に誰もが圧倒的成果を出すことができる」と語ります。「自分らしく」「優秀で」「別の」やり方を組み合わせた「別解」を生み出すことで、他人の「優等生案」を抜き去り、突き抜けた結果を実現することができるのです。本連載では、平尾氏の初の著書となる『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』に掲載されている「現代のビジネスパーソンが身につけるべき、起業家の5つの力」から抜粋。「不確実性が高く、前例や正攻法に頼れない時代」に自分の頭で考えて成果を生む方法を紹介します。

「トップ層に行く人と、最下層にとどまる人」との決定的な違いPhoto: Adobe Stock

4000位からトップ層に立つために

最初に申し上げたいのは、問題発見の基本的な方法論です。

①問題を正しく「定義」する
②問題を正しく「発見」する
③問題を解決するために「いつまでに、何を、どのような順番で行うか」決める
④そこにはどのような「障壁」が存在するか把握する
⑤最終的に、どのような「状態」を目指さなければならないか明らかにする

最低限、この五つの段階をクリアにしなければなりません。

そもそも問題のテーマがずれていると、解く必要のない問題を解くことになります。

違う問題を解いても、本来の問題解決にはなりません。

社会にとって、組織にとって大きく重要な問題を解かなければならないのに、身近にある、見つけやすい小さな問題の解決にとどまってしまう。

自分にとって大きな問題に見えても、より大きな視点から見たとき、実際は些細な問題であることも多いため、根本的な問題解決にはなっていないのです。

どうすれば、解くべき問題を発見できるでしょうか。

・会社のことを知る
・経営者がどのようなことを考えているか知る
・社会のことを知る

このように、自分以外の視点や知識が大切です。

私は、大学を卒業してリクルートに入社しました。

そのときに、自分は社員全員のうち何番目に必要な人材なのか考えていました。

新入社員は、最初は最後尾になるはずです。当時リクルートの社員が4000人いたとしたら4000位になる。

しかし、何年か経過したらトップ層に上がらなければなりません。

そうしなければ、歯車になるだけだと考えたのです。

誰かに投げられた問題や課題をこなすだけではトップに立つことを実現できないと思い、自分から仕事を取りにいったり、課題を提言したりしていました。

「リクルートにはこの部分が足りません」
「紙の会社だから、インターネットが遅れています」
「江副(浩正=創業経営者)さんのころから何も変わっていないじゃないですか」

生意気なことを言ったと思います。

しかし、問題を発見する力があれば、上司や先輩より問題の本質に近づくことができます。

それを解決すれば、会社にとって価値の高い問題解決になり、評価は高まります。

視座が低いままだと、見える世界も狭いままに終わってしまいます。

いまの自分よりも高い視点から、問題を探してみてください。

(本原稿は、平尾丈著『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』から一部抜粋・改変したものです)