「今の会社で働き続けていいのかな?」「でも、転職するのは怖いな……」。働き方が大きく変わるなか、悩みを抱える人は多いだろう。高卒から、30歳で年収1000万円超という驚きの経歴をもつ山下良輔さんは、そうした「転職迷子」たちから圧倒的な支持を得ている。山下さんは12月に出版した初の著書『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』で、自らの転職経験を全て公開している。
その戦略は「外資系やコンサル業界は、学歴エリートでなくても入れる」「職歴に一貫性はなくてもいい」など、これまでの「転職の常識」を塗り替えるものばかりだ。どうしたら人生を変える転職ができるのか、どうしたらいい会社選びができるのか。今回は本書をもとに、著者がキャリア相談に回答する。(取材・構成/飯田雄、堤国之助)

頭がいい人と悪い人「転職でアピールするポイント」で現れる差Photo: Adobe Stock

[質問]
 24歳、女性です。新卒でSIer企業に入社し、システムエンジニア(SE)をしています。

 将来的に転職する可能性を考慮して、市場価値を高めたいと思っています。今は社内評価は中の下~中の中あたりでありこのままではまずいなと思い始めています。同時に、自分の市場価値向上に向けて何をするべきか分からず困っています。実際の転職では、どのような実績が評価されるのでしょうか。また、評価される実績を積むための方法も知りたいです。

[山下さんの回答]

社内の評価が高い人=転職で評価が高い人ではない

 社内評価では上位に位置してないことに焦りを感じてらっしゃるとのこと。

 結論から言うと、全く気にする必要はありません。

 本書にも書きましたが「社内で評価される実績が必ずしも転職市場で評価されるとは限らない」。このポイントを忘れないようにしてください。社内評価が低いことに落ち込む必要は全くありません。逆に、社内の出世のために正しいとされることをコツコツ積み重ねても、市場価値は全く上がらないこともあり得ます。

 話のスケールがちょっと大きくなりますが、そもそも会社の存在意義はなんでしょうか。多くの企業の当面の目的・目標は利益を稼ぐことでしょう。これは企業活動の「背骨」でもありますし、転職で評価される軸でもあります。

 利益を稼ぐ方法は、①売り上げを増やす、②コストを減らす、の2つに分解できます。究極的には、この2つの観点で貢献しているとアピールできれば企業の成長に役に立つ人材とみなされます。別に社内評価でNo.1であったと必ずしもアピールできなくても良いのです。実績の積み方は職種によって変わりますが、SE職を例に見ていきます。

●「売上を増やす」実績の例
 質問者様がお客様へ営業または提案活動をする機会があるならば、提案資料を作成のみをした場合でもこの点はアピールすべきです。なぜなら、営業に関わるSEは少ないため希少性が高いからです。

 提案資料を作成しただけでも、受注を勝ち取るためにどのような点を工夫したのかをアピールできますし、転職先でも同じように創意工夫し考えてくれそうだ、ということで加点につながります。

●「コストを減らす」実績の例
 ルーティン業務の改善や無駄な作業の削減等、コストを減らす工夫は日々の業務の中に多々あります。

 例えば僕の場合ですが、車部品開発の工場で働いていた際に、車の開発時に毎回チェックする書類フォーマットに対して、記入漏れが発生しないように必要項目を示す改善をしました。仮にこの改善で製造現場の生産性が向上し、時間あたりに作成可能な部品の量が5%アップしたら、利益も同じ割合で増えたこととなります。

●「売上・コスト」どちらの点でもアピールできる実績の例
 SEの場合は、自分の携わるプロジェクトを、納期通り・期待通りの品質で進めることが、利益に貢献する一番身近な方法となると思います。

 プロジェクトにおける納期の遅延や品質の問題は、多くの場合リソース(人員)追加でリカバリーしますが当然追加コストが発生し会社の利益を減らすこととなります。

 つまり、あなたがプロジェクトが計画通りに進むために工夫を凝らしたとしたら、その内容を「コストを膨らませないために取り組んだ」とアピールできます。クライアントのプロジェクト評価者から評価されるポイントとして、自分の仕事ではどのようなことを気をつけたのか、といった観点などを持って日々の仕事に取り組むといいと思います。

 このような視点をもって仕事をしていて、面接で話せる人は多くありません。同年代の中で、上位の職位の目線で話せる人であれば高評価につながります。