ウクライナ危機、中ロ分断を狙う米国Photo:Anadolu Agency/gettyimages

【ワシントン】米国は中国をロシアとの緊密な協力関係から引き離したいと考えている。そのための一計は、ロシアのウクライナ侵攻による痛みを中国政府に感じさせることだと米当局者らは指摘している。

 米当局者らによれば、米政府は中ロ政府間に亀裂が生じれば、それが何であれ活用したいと考えている。ロシアによるウクライナへの全面攻撃は、ロシア側を支持するのか、それとも欧州や米国など世界の他地域との重要な経済的結び付きを維持するのかという選択を、中国に迫る機会だととらえている。

 中国の産業界や銀行がロシア支援を試みれば、ロシアに対する懲罰的な経済制裁、特に特定技術に関する対ロ輸出規制は、中国にとっても打撃となる可能性があると、米当局者らはみている。

 米国務省当局者は、中国であっても「他の国であっても、その国がわれわれの制裁対象となっている活動にかかわろうとすれば、その国は制裁の対象になる」と語った。

 ある当局者によれば、米国はさまざまな国際フォーラムを利用し、ロシアのウクライナ侵攻に対する公式な立場の表明を中国に強いている。25日の国連安全保障理事会では、ロシアのウクライナからの撤退を求める内容の、米国が支持する決議案がロシアの拒否権行使によって否決されたが、その際に中国は、インドやアラブ首長国連邦(UAE)とともに棄権に回り、米国の非難を浴びることになった。