2030年の札幌への冬季オリンピック・パラリンピック招致で、共生社会の実現を加速する

3月13日に閉幕した北京2022パラリンピックでは日本人選手が躍動(写真はアルペンスキー女子で複数のメダルを獲得した村岡桃佳選手)Photo:Getty Images

東京2020オリンピック・パラリンピックの開催によって、日本はバリアフリー化が進展し、多様性を認め合う共生社会への第一歩を踏み出した。そして今、札幌市が2030年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致活動を始めている。東京2020大会開催で進んだバリアフリーのレガシーを、札幌はどう引き継ぎ、全ての人を尊重して公平な共生社会を実現していくのか。国立競技場をはじめ、競技施設のバリアフリー化に携わった東洋大学名誉教授・高橋儀平氏に、東京大会での成果と札幌大会への期待を聞いた。

2013年を境に、バリアフリー化が一気に加速

 東京2020オリンピック・パラリンピックを機に、東京ではバリアフリー化が急激に進んだといわれている。2013年の招致決定以来、そのバリアフリー化はどのように推進されてきたのだろうか。東京都の「福祉のまちづくり推進協議会」の会長を務め、長年にわたって障害者との共生社会を目指す街づくりに取り組んできた東洋大学名誉教授の高橋儀平氏は、「13年を境に、バリアフリー化が一気に加速しました」と振り返る。

東洋大学名誉教授
高橋儀平氏

1972年に東洋大学工学部建築学科卒業。埼玉県川口市で脳性マヒ者のケア付き住居に関する活動を行ったことをきっかけに障害者が普通に暮らせるまちづくり活動を開始。国や地方公共団体における福祉のまちづくりやユニバーサルデザイン計画、バリアフリー法などのガイドライン作成に携わる。東京2020オリンピック・パラリンピックの国立競技場のユニバーサルデザイン・アドバイザー、Tokyo2020アクセシビリティ・ガイドラインの策定にも携わる。
Photo by Gihei Takahashi

「私が仕事を始めた1970年代、街の中は、高齢者や障害者にとってバリアだらけでした。90年代に日本が高齢化社会に突入し社会課題となりつつあった頃、国や地方公共団体のバリアフリー化の動きが本格化し、1994年にハートビル法、2006年にバリアフリー法が制定されたことで、ようやく形が整い始めました。バリアフリー法は、ユニバーサルデザイン(UD)を標榜し、建築物と移動・交通機関を一体的かつ連続的に整備することを定めた法律です。90年代までは、まだ障害のある当事者の方々への対応はごく一部の行政担当者の関心に委ねられ、当事者自身の関心も年金や介護、就労などのソフト面が中心で、建築物や公共交通機関のバリアフリーについてはようやく、動きが見えてきたところでした」(高橋氏)

問い合わせ先

日本オリンピック委員会(JOC)
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札幌市スポーツ局招致推進部
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