a1716年に酒造を開始1716年に酒造を開始 Photo by Yohko Yamamoto

花酵母の酒が95%!
酒の力で地域を楽しく面白く

 米28種と酵母20種を使い分け、毎年60種類以上の酒を造る茨城県筑西市の来福酒造。

「試したい米は即、仕込みます」と10代目の藤村俊文さん。モットーは即断即決。農家や飲食店からリクエストがあれば小仕込みでも対応する。

 最盛期は4500石を醸造したが、俊文さんが東京農業大学を卒業後、1997年に入社した時は製造量が半分以下に減り、ほとんどが葬式用の普通酒。これからは品質で勝負と、自ら杜氏になり酒質向上を図る。大容量のタンクを廃棄し、小容量で丁寧に仕込み、他の蔵で不要の醸造設備があれば飛んで行って譲り受けた。

 今、95%が花酵母の酒だ。先代の父が「うちの酒には香りがない」と悩んでいたため、学生時代から酵母を研究。卒業論文のテーマも酵母で、後に花酵母を生んだ中田久保先生から面白がられ、花酵母を優先的に使わせてもらう。

 2004年、ナデシコ酵母の酒が全国新酒鑑評会で金賞を受賞し、以後、酵母を究め続ける。

 08年に生酛山廃系の酒造りを得意とする佐藤明さんを杜氏に招き、二人三脚で酒造りを行う。遠心分離機やスパークリング酒製造機など最先端の設備も揃え、特色ある酒を開発。

 茨城県の酒米ひたち錦では硬い性質を生かし、超辛口の酒や8%精米の酒を醸して高評価。酒米愛山の「来福」は「愛と福が山ほど来る」と結婚式の人気酒に。

 地元の梅、栗、芋、ブドウなどで、ワインや果実酒、焼酎、ジンも製造し、6次産業化の商品も手伝う。

 即断即決、酒の力で地域を楽しく面白く。

来福 純米生原酒 さくら来福 純米生原酒 さくら
●来福酒造・茨城県筑西市村田1626●代表銘柄:来福 純米大吟醸超精米、来福 純米吟醸 超辛口、来福 純米吟醸 愛山、Sparkling Raifuku●杜氏:佐藤明●主要な米の品種:ひたち錦、愛山、山田錦、五百万石