DX狂騒曲#10Photo:PIXTA

大企業社員の中で、「DXプロジェクトに関わりたくない」など、ネガティブな回答をする社員が44%――。こんな調査結果が明らかになった。大流行中のはずのDXだが、プロジェクトの推進役となる社員には及び腰が目立つ。それはなぜなのか。背景には日本の大企業社員にありがちな、DXの本質とは相いれないさまざまな障壁が浮かび上がる。特集『企業・ITベンダー・コンサル…DX狂騒曲 天国と地獄』(全14回)の#10では、DX成功には欠かすことのできない「人」の問題について取り上げる。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

40代中間管理職が特に及び腰
「絶対にやりたくない」人も13%

 あなたは1部上場企業で課長職を務めている。仕事は忙しいが充実した日々に不満はない。そんなある日、人事異動で突然「DX推進部」への配属を命じられた。どんな気持ちになるだろうか?

 これを実際の社員1000人以上の大企業に勤務している社員を対象に調査した結果がある。人材研修事業を行うInstitution for a Global Society(IGS)が2021年に行った調査で、「DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進活動に関わる場合、どのように感じますか」という質問に対しての回答は何と、44%が「関心がない」「面倒くさそう」「やりたくない」などのネガティブなものだったというのだ。

 詳細な調査内容を見ると、より深刻な事態が明らかになる。調査対象全体の30%、さらに40代の38%がDXに関わりたくないと回答しているのだ。特に40代の13%は「絶対に関わりたくない」と強い拒否を示している。

 企業の未来を切り開く花形部署のようなキラキライメージがあるDX推進部。しかし、実際にそれを推進する立場の社員、特に年齢的には中間管理職でキーマンとなり得る世代の社員が特に、DXに関わることに対してのモチベーションが低い、ということが明らかになったのだ。

「企業をデジタルで変革」するDX。だが、現状ではそれを進める立場になり得るのに及び腰の人が多い。それはなぜなのか。次ページでは、DX推進のプロたちへの取材を基に、日本企業でそのような「人」の問題が起こってしまう理由と、解決するための処方箋を提案する。