デジタル人民元にステーブルコイン…デジタル通貨ラッシュを読み解く基本知識Photo:PIXTA

北京オリンピックでお披露目されたデジタル人民元。日本でもメガバンクや大手商社が暗号資産を発行したり、米国では連邦準備制度理事会(FRB)が、中央銀行のデジタル通貨(CBDC)に関するリポートを公表するなど、このところ広い意味での「デジタル通貨」に関して、話題に事欠くことがないが、そもそも中央銀行発行のデジタル通貨とステーブルコイン、そしてビットコインに代表される暗号資産は、それぞれどのような違いがあるのだろうか?(クラーケン・ジャパン代表 千野剛司)

 北京オリンピック・パラリンピックで注目された、デジタル人民元。中国の中央銀行である中国人民銀行が発行するデジタル通貨で、会場で世界中のアスリートと関係者が専用の支払いアプリを使えるようになっていると報じられています。仕組みや使い勝手に関しては情報収集中ですが、中央銀行の発行するデジタル通貨(CBDC)の普及への先駆けになるのか注視しています。

 一方、時を同じくして日本では、メガバンクや大手商社が、暗号資産やステーブルコイン(安定した価格になるように設計された暗号資産)を発行し、米国では連邦準備制度理事会(FRB)がCBDCに関する考察を書いた最新リポートを公表しました。ここにビットコインやイーサなど暗号資産も加わり、広い意味での「デジタル通貨」に関して話題に事欠くことはありません。

 ただ、同じ「デジタル通貨」といっても、全てがライバル同士というわけではありません。例えば、CBDCが普及したらステーブルコインや暗号資産にとって逆風になるという単純な構図ではないのです。CBDC、暗号資産、そしてステーブルコインの役割を整理し、今後のルール作りやビジネス面での投資判断について議論をした方がよいでしょう。