2016年の発売直後から大きな話題を呼び、中国・ドイツ・韓国・ブラジル・ロシア・ベトナム・ロシアなど世界各国にも広がった「学び直し本」の圧倒的ロングセラーシリーズ「Big Fat Notebook」の日本版が刊行される。本村凌二氏(東京大学名誉教授)「人間が経験できるのはせいぜい100年ぐらい。でも、人類の文明史には5000年の経験がつまっている。わかりやすい世界史の学習は、読者の幸運である」、COTEN RADIO(深井龍之介氏 楊睿之氏 樋口聖典氏・ポッドキャスト「歴史を面白く学ぶコテンラジオ」)「ただ知識を得るだけではない、世界史を見る重要な観点を手に入れられる本! 僕たちも欲しいです」、佐藤優氏(作家)「世界史の全体像がよくわかる。高度な内容をやさしくかみ砕いた本。社会人の世界史の教科書にも最適だ」と絶賛されている。本記事では、全世界700万人が感動した同シリーズの世界史編『アメリカの中学生が学んでいる 14歳からの世界史』より、本文の一部を抜粋・紹介します。

【世界的ベストセラーで学ぶ】第二次世界大戦後に「NATO」という「軍事同盟」が生まれたワケPhoto: Adobe Stock

第二次世界大戦後の同盟

 第二次世界大戦後、アメリカとソ連が東西の各チームのキャプテンとなって、同盟がつくられた。

 アメリカチームは、ベルギー、ルクセンブルク、フランス、オランダ、イギリス、イタリア、デンマーク、ノルウェー、ポルトガル、アイスランド、カナダ、アメリカで、1949年に北大西洋条約機構(NATO)という同盟を結ぶ。

 ライバルのソ連チームは、東ヨーロッパの多くの国々で、1955年にワルシャワ条約機構(東ヨーロッパ相互援助条約)を結成した。

 このふたつの機構は、国々がお互いの安全保障のために築いた軍事同盟といえる。たとえるなら、「背中をかいてよ。お返しにかいてあげるから」という関係だ(ただし、使う道具といえば、外交、銃、爆弾だけれど)。

共産主義の拡大阻止

 アメリカとイギリスは、新たに解放された東ヨーロッパの国々が、独自で政府を築くのがよい、と考えていた。一方、ソ連は、そうした新しい国々が反ソ連に傾くのを恐れていた。

 特に気がかりなのが、内戦の真っ只中にあるギリシアだった。イギリスは、ギリシアの反共産主義勢力に金銭支援をおこなっていたけれど、やがてお金が底をついてしまう。

 アメリカのハリー=S=トルーマン大統領は、イギリスが支援をやめることで、ギリシアが共産主義国家になるのを恐れて、1947年、議会にギリシアとトルコの援助を要請した。

 ほかの国にかけるにしては大金だったけれど、トルーマン大統領はトルーマン=ドクトリン(アメリカは、武装少数派や外圧による征服に抵抗している自由な民族を常に支援するべきである、という宣言。共産主義におびやかされている国々も、援助の対象になった)を打ち出して、その必要性を強く訴えたのだ。

 同じ年、アメリカ国務長官のジョージ=マーシャルが提唱したのが、マーシャル=プランだ。マーシャルは、共産主義が根づくのは経済的な問題を抱える国々ばかりだと考えた。

 そこで、共産主義が崩壊するのを期待して、貧しい国々にお金を援助しよう、と考えたわけだ。こうして、マーシャル=プランのもと、戦後ヨーロッパの再建に130億ドルもの資金が提供された。

ヨーロッパ経済共同体の設立

 しかし、ソ連とそのヨーロッパの衛星国(ソ連に依存している国々)は、マーシャル=プランからの資金の受け取りを拒否する。1949年、それらの国々は、代わりに財政援助をおこなう経済相互援助会議(コメコン〈COMECON〉)を設立したけれど、まともに機能させるには現金が不足していた。

 西ヨーロッパでは、1958年、ヨーロッパ経済共同体(EEC)という経済統合機構が発足する。共同市場(のちには単にヨーロッパ共同体(EC))とも呼ばれたEECを構成したのは、フランス、西ドイツ(ドイツは第二次世界大戦後、東西に分割された)、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、イタリアという国々だった。

 EECは、加盟国どうしの経済協力を促す機関で、1970年代にイギリス、デンマーク、アイルランドが加わり、1980年代にギリシア、スペイン、ポルトガルも加わった。

 ヨーロッパ共同体はその後、ヨーロッパ連合(EU)の誕生につながり、2009年にEUへと組み込まれた。

(※本原稿は『アメリカの中学生が学んでいる 14歳からの世界史』を抜粋・再編集したものです)