中国人より自己表現が下手な日本人、「PQ」を鍛える3つの条件とは写真はイメージです Photo:PIXTA

どんなにIQやEQが高くとも、その2つを適切に表現する自己表現力がなかったら意味がありません。そこで、IQとEQ以上にビジネスに重要な「第3の知性」として、「PQ」(=自己表現力)という新しい概念が注目されています。プレゼンやスピーチといった場、さらには、続くコロナ禍で必須のオンラインでの伝え方など、すべてのビジネスマンに求められる「伝える力」の鍛え方を『成功はPQで決まる』(学研プラス)から一部編集・抜粋して紹介します。(国際パフォーマンス研究所代表 佐藤綾子)

なぜ今PQが必要なのか
黙っていては何も伝わらない

 上海で開催された世界コミュニケーション学会の座長をした時の話です。中国とアメリカの教授に挟まれ、クタクタになったことがありました。というのも、発表の前日に中国の教授が順番替えを主張してきたからです。

「発表が5組で、我々が5番目だと、時間が不足してきたら不利になってしまう。主催会場国の名誉もあるからトップにせよ」

 しかし、プログラムのトップに印刷されたアメリカの教授も、「そうですか」と言うわけにはいきません。

 私は、どうしても譲らない中国側のために、アメリカ側に「この会議を成功させるために、今はあなたの譲歩と貢献が必要だ。あなたの協力については私が会の初めにコメントして感謝を表して、その後の対応時間管理を厳重にするから、議事進行に協力してほしい」と深夜まで交渉し、なんとか譲歩してもらいました。

 粘り強く「譲歩することの名誉」をアメリカ人教授にアピールして成功したのは、日ごろのパフォーマンス心理学の訓練項目であるネゴシエーションスキルの成果も多分にあったはずです。

「譲らない中国」の事例を挙げましたが、これまでの研究を見ると、60年ほど前までの中国は世界一もの言わぬ国だと見られていました。中国は主張をするようになったのに、日本はどうでしょう?今主張する力をこそ鍛える必要があります。