「ランチ後に極端に眠くなる」人は太りやすい?

ランチを食べた後、14時ぐらいになると途端に強烈な睡魔に襲われる、という経験はありませんか? 夜更かしをしたわけでも、単純作業をしているわけでもないのに、突然やってくるこの睡魔ですが、実はこの現象がダイエットにも大きく関係しているのです。産業医として年間5万人の健康指導を指導する総合内科専門医の益江毅医師は、著書『やせたい人はカロリー制限をやめなさい』の中で、ダイエットと食後の睡魔について詳しく解説。その中身とは?(文・監修/総合内科専門医 益江毅)

食後にやってくる強烈な睡魔。
その正体とは?

「健康診断で血糖値の異常を指摘されたことはない」という人の中にも健康診断の数値だけではわからない「食後高血糖」という問題があります。

 実は、食後高血糖が、昼食後の眠気と深くかかわっているのです。

 食事によって上昇した血糖値は通常、食後2時間もすればインスリンの働きによって元通りに下がっていきます。しかし、インスリンの効きが悪かったり、分泌量が少なかったり、分泌する速度が遅かったりすると、食後2時間経っても血糖値が下がりません。このときの血糖値が140mg/dL 以上の状態を、「食後高血糖」と呼びます。

 この食後高血糖は「血糖値スパイク」という言葉で呼ばれることがあり、テレビや雑誌を通じてご存じの方もいるでしょう。

 食後の高血糖に対して、血糖値を下げようとインスリンが大量に分泌された結果、過剰な糖が脂肪として蓄積されて「肥満」に結びつきます。昼食後に「食後高血糖」が起こると、インスリンが過剰に分泌されて、血糖値が下がりすぎることがあります。これを「反応性低血糖」と言います。

 食後しばらくして強烈に眠たくなる、だるくなって集中できなくなるという人は、反応性低血糖が起こっている可能性があるのです。

 この食後高血糖は、毎年健康診断を受けていても判断することはできません。通常の健康診断でわかるのは「空腹時血糖値」だからです。

 昼食後に強烈な眠気がくる、という人は、食後高血糖に要注意ですが、その背景にあるのは、食事の仕方の問題です。

インスリンを節約すれば
ダイエット効果+仕事の効率アップも!

 私がおすすめするインスリンを節約するダイエット法は、まさに、この食後高血糖を起こりにくくする食事法でもあるのです。インスリンを節約する食べ方を実践することで、食後血糖値が抑制され、食後の眠気も緩和されるかもしれません。

 インスリンの働きを正しく理解し、インスリンの分泌量をうまくコントロールする方法を実行することで、太りにくい体を作ることができるのです。

 その方法は、「〇〇だけ食べればいい」「〇〇だけすればいい」というふうに、単純なものではありません。

 「インスリン分泌を抑える」という目的を達成するための様々な方法を「まずはできることから」始め、毎日の生活で実践できることを組み合わせていくことで、より大きな減量効果を得ることと、その効果を維持していくことを目指しましょう。