わが子に最強の中高一貫校&小学校&塾#24Photo:PIXTA

文系理系にとらわれない「第三の道」として人気が高まる芸術系大学。実は、中高一貫校では芸術教育に力を入れる学校も多い。そこで、特集『わが子に最強の中高一貫校&小学校&塾』(全26回)の#24では、東京藝術大学ほか芸術系大学に強い中高一貫校をランキング。美大・音大付属校にとどまらず、最難関校や国立大付属校、男子校も上位にランクイン。子どもの可能性を広げる参考になるはずだ。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

芸術教育にも力を注ぐ
中高一貫校の狙いとは?

 偏差値や大企業への就職率にとらわれない大学選びの選択肢として、東京藝術大学や「ムサタマ(武蔵野美術大学、多摩美術大学)」などの芸術系大学が存在する。

 実は、「私立中高一貫校では、生徒の成長につながり、生涯にわたる大事な礎になるという教育方針から、『国数社理英』と同じぐらい、『音美家技体』をバランスよく学ばせる学校が少なくない」と、井上修日能研本部・ディレクターは指摘する。

 近年、首都圏の中学受験で学校選びにおける「多様化」が指摘される中、その好例に挙げられるのが人気急上昇中の女子美術大学付属だ。同校の2022年入試の志願者数は全入試日程を合わせて926人と、前年21年入試からほぼ横ばい(1人増)で高止まりしている。

「学校選びの多様化の流れを受けた女子美人気は、『ものづくり』をしたい子どもたちの受け皿になっていることの表れ」と井上氏。加えて、「美術系大学の卒業者は、学生時代から自分の作品を世に伝える訓練を積んでいるので、実はメタ認知(自分自身をより高次から客観的に認知する能力)に優れ、バックキャスティング(理想とする未来像から逆算して解決策を見いだす方法)やプレゼンテーション、コミュニケーション能力が高い人が多い。その意味で、仮に東京大学と東京藝大に両方受かることができるならば、東京藝大を選んだ方が社会に出るまでに、より成長できるかもしれない」(同)と指摘する。

 そこで次ページでは、文系理系と異なる「第三の道」に興味、関心がある子どもを持つ親向けに、首都圏の中高一貫校の芸術系大学現役合格率ランキングを掲載しよう。女子美付属や国立音楽大学附属はもちろん、芸術系大学進学とは一見無縁そうな最難関校や国立大付属中、男子校の名前も上位に登場する。

 また、現役合格率とは別個に、最高峰、東京藝大の現役合格者数についても、ランク外の学校を含めて一挙掲載している。

 注意してほしいのは、東京藝大やムサタマなど難関芸術系大学を目指す技巧を身に付けるためには、少なくとも高校在学時から芸大・美大受験予備校に通うのが不可欠ということだ。いわばランキング上位校(芸術系大付属校を除く)は、そのカリキュラムによって合格実績を上げているのではなく、自由闊達な生徒が集まりやすい校風や、偏差値至上主義ではない、子どもの多様な生き方を後押しする教育方針の表れ、と言い換えることができるだろう。

 では早速、ランキングを見てみよう。