IIJの鈴木幸一会長IIJの鈴木幸一会長 Photo:JIJI

文化功労者に選ばれた
ITベンチャーの創業者

 通称は「緑高(りょっこう)」。横浜市の中心部・中区の南側の高台にある。2023年に創立100周年を迎える。港町の気風を映して校風は自由そのもので、多様な人材が巣立っている。

 日本におけるインターネット元年は、1995年といわれる。同年11月にWindows95が発売され(米国での発売は同年8月)、年末には「インターネット」という言葉が、新語・流行語大賞でトップ10入りを果たしている。

 その商用化で、日本の先駆者になった企業がある。インターネットイニシアティブ(IIJ)だ。この会社を草創期から育てて社長を務め、現在は会長の鈴木幸一が緑高の卒業生だ。

 鈴木は早稲田大に進み、日本能率協会に入社、インダストリアル・エンジニアリングなどを学んだ上で独立した。一部の研究者は別として、「インターネット」なる通信基盤などまるで知られていない段階の92年12月に、IIJを設立した。

 旧郵政省、旧通産省などの抵抗を押し切って、93年にはインターネット接続サービスを開始、大企業や官公庁を顧客に取り込み急成長した。99年には米NASDAQに、2005年には東証マザーズに株式公開した。06年12月には東証1部上場企業となった。21年3月期の売上高は2130億円だった。