「ピケティの不等式」が教える、人生における株式投資のタイミングPhoto:PIXTA

一世を風靡(ふうび)した「ピケティの不等式」、r>g。この不等式の意味するところは、株式投資の収益率が経済成長率を超えるということだけではない。人生における株式投資のタイミングも示唆してくれる。(レオス・キャピタルワークス株式会社未来事業室長 田中秀一郎)

金融リテラシーって
コトバ難しくない?

 初めまして、ダイヤモンド・オンラインの読者の皆さま。田中と申します。過去のネット記事ではだいたい「タナカ(仮称)」を名乗っていましたが、今回は諸事情から本名で書いています。最初に一つご留意いただきたい点を。今回の執筆内容も、所属する会社の公式見解ではなく、その商品などの勧誘を意図するものではありません。また学界の通説、業界の上記等と必ずしも一致しないかもしれない筆者独自の見解となります。なので、ちまたに流れる多くの解説とは異なることが多くなるかもしれません。

 さて、今回の連載で書きたいことは「金融リテラシー」と呼ばれるもののあれこれです。金融業界は難しい言葉で人をけむに巻くことも時にあるのですが、これなんかもその一種です。

 普通の言葉で言うと、財産を作っていったり、管理したりするのに必要な知識ということです。これが必ずしも広く普及していないことは、金融業界の所轄官庁である金融庁という役所が調べた調査結果でも明らかになっています。

 必要な知識が必ずしも広く普及していないのと、金融業者の一部が自らの都合で必ずしも正確に伝えていない場合もあるので、その辺を少しずつ解説していきたいと思います。

 業者の都合で必ずしも正確な情報が伝えられないことの原因はさまざまですが、業者が営利企業であることも一因です。それ自体は別にどうということはなくスーパーだって自動車メーカーだって営利企業なので、その意味で一緒なのですが、スーパーで売っているカブの鮮度が悪ければ買う前に見て分かりますし、自動車は買い手側が一生懸命調べて自分の用途に合うのはどんなクルマか、どこのメーカーの何が良いか、値引き率は今どの店がいいかなどを知っています。

 しかし不思議なことですが、金融商品については、顧客の側が一生懸命調べないことが少なくないのです。