痩せたい、熟睡したい、賢くなりたい、ストレスに強くなりたい…。人類の生活環境が激変するなかで、現代人はかつてなく多様な悩みを抱えるようになった。本連載では、全米で話題沸騰中、国内では本年3月に発売となる書籍『EAT 最高の脳と身体をつくる食事の技術』の内容から、あらゆる頭痛のタネに対して“食に関する最新の知見”から有益な情報をお伝えしていく。

なぜ、“旬の食べ物”は身体に良いのか?<br />スタンフォード大学の研究でわかった人体の凄さPhoto: Adobe Stock

実は、腸内細菌は一年を通して大きく変化する!

 スタンフォード大学の研究者たちは、健康な狩猟採集民族の食生活は季節ごとに変わり、それに伴ってマイクロバイオーム[腸内の多様な微生物の集合体、本書のメイン・トピック]が変化したことを突き止めた。

 そして、腸の微生物と消化は循環するものであり、人間に生まれつき備わった精密なバイオリズムに同期すると結論づけた。

 だが、いまの私たちは、生まれつき備わったバイオリズムで生活しなくなったうえ、本来なら限られた時期にしか手に入らない食べ物を一年中食べている。

 科学ジャーナル『サイエンス・アドバンシズ』に掲載されていたデータによると、同じ食べ物が365日いつでも手に入るせいで、マイクロバイオームや代謝にマイナスの影響を受けている人が大勢いるという。

 世界の食べ物の75パーセントは、12の植物種と5つの動物種から生産されていると言われているが、アフリカや南米の農村部に暮らす人々のマイクロバイオームは、アメリカやヨーロッパに暮らす人々に比べてはるかに多様性に富んでいたという報告もある。

 また、食べる果物や野菜の種類を増やすだけで、病原菌の個体数の増加が抑制され、ウエストまわりの脂肪が減少すると提言した研究が、科学ジャーナル『フード&ファンクション』に掲載されていた。

 マイクロバイオームの多様性と代謝のためを思うなら、旬の食べ物を積極的に食べるようにするといい。旬でないものを食べるな、というつもりはなく、単純に、地元で手に入る旬の食べ物を食事に組み込めば、マイクロバイオームが喜ぶだろう。