「世の中をあっと言わせる企画を作りたい」「自分の夢を仕事で実現させたい」「ユーザーの気持ちがわからない」「企画書が通らない」「プロジェクトを成功させる方法が知りたい」など商品開発や新規事業を生み出す上でのあらゆる悩みを解決!
本連載の著者は「千に三つ」や「一生涯一ヒット」と言われる食品(飲料)業界において「氷結」「スプリングバレーブルワリー」「淡麗」「キリンフリー」など数々のヒット商品を生み出してきた和田徹氏。実は入社から12年間、ヒット商品ゼロだったという著者なぜ、失敗だらけだった人が、ヒット商品を量産できるようになったのか? 売れ続ける商品づくりの全技法を明かしたのが『商品はつくるな 市場をつくれ』(3月15日刊行)という書籍です。刊行を記念し、本書の一部を特別に公開します。

誰でも斬新なアイディアが思いつく、究極のトレーニングとは?Photo: Adobe Stock

「超・越」「極・端」「逆・転」発想法

この方法は、究極にクリエイティブなアイディアをひねり出すトレーニングです。簡単にいうと、考える素材をありえないレベルまで極端な設定にして、そこから発想を大きくジャンプさせ、アイディアのヒントを見つける方法です。

たとえば、消費者に1カ月に1回しか買ってもらえないお酒があるとします。その販売機会を増やそうとするならば、普通は「1カ月に2、3回買ってもらうにはどうしたら良いか?」と、まずは考えるのではないでしょうか。

ところが「超・越」「極・端」「逆・転」発想法では、こう考えます。

「1カ月に1000回買ってもらうにはどうすれば良いか?」

さらには、逆からも考えてみます。

「10年に1回だけ買えば十分にするには、どうすれば良いか?」

大きいものは小さく、少ないものは多くする。世界最小なら、その100分の1まで小さくする。100%を1000%に。主と従、原因と結果、表と裏、上と下、自分と相手など、登場する2つのものを逆転し入れ替える。

現実にはありえないほど極端なまでに設定を「超」「越」「極」「端」「逆」「転」に加工してから、アイディアを考えてみるのです。

「1カ月に1000回買ってもらうには、1000本そのお酒を飲まなくてはいけない。それは無理だな。だとしたら、飲みきれない分は保管しなくてはいけない。そうしやすい形状のパッケージやサービスを考えよう。そうだ、マンションの地下に住民専用の大型冷蔵庫を設置しよう。あるいは、保管とデリバリーのしくみをつくってもいいかも」

このように、考える対象を極端に加工してみると、根本的な思考のベースが変わります。

「いまの売上を1万倍にしろ」と言われたときに、普通は「もうちょっと広告を増やそうかな」とは思わないはずです。もっと何かすごいこと、普通じゃないことをやらなければ、1万倍は達成できないと頭でわかっているので、思考の水準が変わっているからです。

極端に考えても、現実とは必ず結びつく

思考のベースが極端に変わってしまうと、本来の問題と乖離してしまうのではないかと思われる方もいらっしゃると思いますが、その心配はありません。

先ほどの例で「新しいサービス」というキーワードが出てきたように、本来の問題とリンクする解決策は必ず現れます。最終的に「サブスクリプションとデリバリーを組み合わせてみたら、週に1回買ってもらえるお酒になった」という結果になれば、万々歳ですよね。

このように思考のベースを変えると、問題がどこにあるのか、何がネックなのか、どこを突破しなくてはいけないのかなど、見えなかった部分が見えてくることがあります。普通のやり方で考えていては出てこなかったであろう、ウルトラ級のアイディアが欲しいときはぜひお試しください。

(本原稿は、和田徹著『商品はつくるな 市場をつくれ』を編集・抜粋したものです)