銀行の業界研究、激動の時代を生き抜く採用戦略と求められる人材とは【再編マップ付き】バブル崩壊後に様変わりした銀行の勢力図。新たな課題を抱え、これからどこへ向かう?
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*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)『息子・娘を入れたい会社2022』の「親子で学ぶ注目業界『天気予報』」を転載したものです。

親世代が就活をしていた時代、人気だったあの業界は今どうなっているのか。ここ数十年の間に、大再編の波にのまれ、他の業界に例を見ないほどの変貌を遂げた銀行業界に焦点を当て、これから銀行を志す学生がどんな展望を描けるのかを検証する。一目でわかる「銀行業界再編マップ」も参考にしてほしい。(取材・文/ダイヤモンド社 ヴァーティカルメディア編集部副編集長 小尾拓也)

他の業界に例を見ないほど
様変わりした銀行の「現在地」

 親世代にとって、銀行ほど昔と今でイメージが変わった業界はないのではないか。金融業界はここ数十年の間に、他の業界に例を見ないほどの変貌を遂げた。

 歴史を振り返ってみよう。昭和時代の銀行は、旧大蔵省や日本銀行により、過度な競争に巻き込まれないよう保護政策がとられ、それは「護送船団方式」と呼ばれていた。経営が安定して給与が高いことから、銀行への就職人気は高かった。1980年代には各行がこぞって企業への融資を拡大し、バブル景気を演出した。

 しかし、バブル崩壊によって状況は一変する。巨額の不良債権を抱えた銀行は、淘汰の波に飲み込まれた。苦境が極まった90年代後半の金融危機時には、北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行といった有名な銀行が相次いで経営破綻し、世間にショックを与えた。

 その後、金融市場の規制を撤廃・緩和して市場の活性化や国際化を促す「金融ビッグバン」が行われたものの、その効果は限定的で、2000年代初頭までに約180の金融機関が破綻。最終的に大手銀行は5大グループ(三菱UFJFG、三井住友FG、みずほFG、りそなHD、三井住友トラストHD)に再編された。まさに業界地図が、がらりと変わってしまったのである。

 これは、バブル期には共に気を吐いていた総合商社が当時の面影を残しているのと比べると対照的だ。

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