仕事や人間関係…しんどいことが多い、という人にぜひ読んでもらいたいのが、「メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術」(わび著)だ。著者のわび氏は元幹部自衛官としてエリート街道をひた走っていたが、上司のパワハラと早朝深夜の激務が重なりメンタルダウン。復職を果たした後、「出世ばかりが人生ではない」「人に認められるためではなく、もっと楽しく生きたい」と思い、転職。現在は外資系企業の社員として活躍している。自衛隊などの社会人経験で身につけた仕事術、メンタルコントロール術についてツイートした内容が人気を集め、Twitterを開始して2年半でフォロワーは13万人を突破、10万超えいいねを連発し、ネットメディアにもたびたび取り上げられている。仕事・人間関係で生き抜く知恵が詰まった本書。今回は、発売を記念して特別に本文より一部抜粋、編集して紹介する。

【元自衛官が語る】自衛隊で学んだ、怒りや悲しみを自分のエネルギーに変える方法とは?Photo: Adobe Stock

感情はコントロールできなくても、表し方はコントロールできる

近くにいる人が喜んでいたり楽しそうにしたりしていたら、なんだかこっちも嬉しくなってきますよね。反対に、近くにいる人が悲しんでいると心配になるし、怒っていると不安になります。

近くの人の喜怒哀楽で自分の感情が変わるなら、自分の喜怒哀楽で近くにいる人の感情も変わります。そういうわけで、自分の喜怒哀楽をコントロールできれば、人間関係はうまくいきます。でも、そんなこと難しくてできません。

ただ、喜怒哀楽をコントロールするのは無理でも、表し方はコントロールできます。

私がとても好きな上司で、喜怒哀楽の表し方が絶妙な方がいました。

私が師団司令部で働いていたときの上司です。

司令部の仕事は、「全部隊の頭脳」と言えばカッコよく聞こえますが、えらい人からは詰められ、各部隊からは突き上げられるので、けっこうしんどい仕事です。

しんどい仕事なので、喜ばしいことや楽しいことなんてほとんどありません。逆に、腹の立つことや悲しいことは多いです。

そんななか、その人は仕事上のささいな喜ばしいこと、プライベートでの楽しかったことをすべて共有していました。

たとえば、「君が提供してくれた資料のおかげで、めちゃくちゃほめられた! ありがとう!」など、喜ばしいことに感謝や感激を添えて共有してくれます。ちょっとした仕事でもこんな感じなので、この人の仕事には協力したいと思っていました。

さらにスゴイと思ったのは、自分の腹の立つことや悲しいことすら、プラスのエネルギーに変えてしまうところです。

「隣の部署に仕事押しつけられた……。悔しいから、あいつらよりはるかにいいできの仕事をしてやる!」といった感じで、蒸気機関車のように怒りや悲しみで心を燃やして前に進んでいきます。

普通だったら、機嫌が悪くなったり、後ろ向きになったりします。

ひどい上司なら部下に八つ当たりすることもあるでしょう。

でも、怒りや悲しみを完全に自分のエネルギーに変えてしまうので、私だけでなく、周りにいた人も協力しようという気持ちになっていました。

今の私は、この上司の「喜楽は共有、怒哀は殺す」的なやり方を真似しています。

怒りや悲しみをプラスのエネルギーに変えるのは難しいですが、変えようとする気概だけでもあると、ムダに怒ったり、悲しんだりすることは少なくなりますよ。

(本原稿は、わび著『メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術』から一部抜粋・改変したものです)