アジア諸国「コロナ共生」へ舵 感染高止まりもPhoto:Chung Sung-Jun/gettyimages

【ソウル】新型コロナウイルス感染の波は、どの先進国も経験していない規模で韓国に襲いかかっている。1日の人口当たり新規感染者数は、米国と英国における過去のピーク時の3倍に達している。

 それでも韓国は、感染拡大を食い止めるのをほとんど断念している。保健当局はここにきて、大規模な感染爆発は必要だと述べている。それは、コロナを感染症の最も危険なカテゴリーから格下げするという新たな目標に向けて、同国の医療システムの信頼性を試す機会になったからだ。

 米国、英国、デンマーク、アイスランドといった国々はマスク着用義務をやめ、次の段階としてコロナをエンデミック(風土病)として扱うことを示唆している。韓国はコロナのパンデミック(世界的大流行)の大半の期間に、感染者を低く抑え込んだアジア諸国の先頭にいた。だが記録的な感染者が出る中、今やこのウイルスを違う見方で捉えている。高いワクチン接種率によって入院や死亡が低く抑えられているためだ。

 シンガポールの場合、かつてはアジア屈指の厳しいコロナ対策を導入していた。現在は歴史的な感染者数を記録しているにもかかわらず、規制を徐々に撤廃している。全人口の92%がワクチンを接種した同国では、屋外でのマスク着用義務を取りやめ、ワクチン接種済みの旅行者について隔離期間を廃止した。

 オーストラリアはほぼ一貫して厳しい入国規制を課してきたが、再び国境を開いた。旅行者に入国前PCR検査を求めていたのも停止する見通しだ。日本では先週、コロナ変異株「オミクロン株」感染の波が退潮傾向になったのを受け、残っていた行動規制を取りやめた。だが韓国は、コロナに対する警戒レベルを引き下げ、実質的にコロナ封じ込めの緊急態勢を解除する最初の国になるだろうと世界の保健専門家たちはみている。