いま、注目を集める研究会がある。わずか2年で約1000人規模へ拡大し、東大新入生の20人に1人が所属する超人気研究会に成長した、「東大金融研究会」だ。創設者は外資系ヘッジファンドに20年在籍し、超一流の投資家として活躍してきた伊藤潤一氏。東大金融研究会ではお金の不安から自由になり、真の安定を得るために「自分の頭で考える」ことを重視している。世の中に溢れる情報や他人の声に振り回されず何が正しいのかを自分で判断し、物事を本質的に理解し、論理的に思考を展開することで、自立した幸せな人生を歩むことができるからだ。本連載では、東大金融研究会の教えを1冊に凝縮した初の書籍『東大金融研究会のお金超講義』から抜粋。頭のいい人だけが知っている「お金の教養と人生戦略」を紹介する。

「トップ2%」に入る勝率の高め方Photo: Adobe Stock

勝率を10%高める努力を重ねられるか

私は、運用のプロであるファンドマネージャーたちは、「しょせん五分五分」の世界で勝率を60%にする作業をやり続ける人たちだと考えています。

おそらく「たった勝率60%?」と感じると思いますが、この60%の壁こそが周囲から抜け出るために超えるべきものなのです。たとえばプロ野球でも年間で140試合ほどありますが、リーグを独走するには勝率60%が1つの目安になっています。

多くの人は勝ち負けを考える場面では「100%勝ちたい」と思うものです。「勝率60%」と聞いて、そのために努力を重ねられるかと聞かれたら、「たった60%のために?」と感じる人もいるでしょう。

しかし株式投資だけでなく人生全般において、「勝つ」ということは「どうすればあと10%、勝率を上げられるか」なのです。

ちなみに「勝率60%」を1年だけクリアすればよいのであれば、そう難しくはありません。企業経営においても、事業環境や選ぶ業種しだいで短期的に利益を出すことはさほど難しくないでしょう。

問題は、永続的に利益を残せるかどうか。勝率60%を「10年続けて維持できれば」トップ2%に入れるのです。

私がプロの投資家として数多くの企業を訪問した経験から感じているのは、経営者で成功している人たちがみんな当たり前のことを地道に続けているということです。

それも、「勝率を10%上げるにはこの方法だ」と決めて10年走るわけではなく、戦略を見直し続けながら10年を積み重ねていくのです。

大事なのは継続性であり、それも「つねにそのことを考え続け、たゆまず改善を続ける」姿勢が求められます。

これを実現するためには、やはり根本的にそのことが「好き」であることが必要でしょう。その意味で、「意識高い系」と言われる人たちがよく口にする「好きなことを徹底してやれ」は、私は本質をついたアドバイスだと思っています。

(本原稿は、伊藤潤一著『東大金融研究会のお金超講義 超一流の投資のプロが東大生に教えている「お金の教養と人生戦略」』から一部抜粋・改変したものです)