第一三共の本社Photo by Masataka Tsuchimoto

製薬大手の第一三共は2005年の経営統合以来、旧2社出身者から交互に社長が出る“たすき掛け人事”が続いてきた。ある人物がこの4月の人事で重要ポストに就いたことにより、次期社長においてもこの線が濃厚となった。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

「S→D→S」のたすき掛け人事
次期社長は「D」が濃厚

 国内大手製薬の第一三共は2005年、第一製薬と三共が経営統合して誕生した。それから17年がたって社内では統合以降に入社した社員が増えた。社員の多くは「旧2社を意識することはほとんどない」とし、融和が進んだ。

 それでも「旧第一製薬の出身者をD、旧三共の出身者をSと呼んで区別する」という社員もいまだにいる。実際、社長人事においては、DなのかSなのかかが毎度注目された。

「対等の精神」で合併した第一三共では、05~10年に旧三共出身の庄田隆氏、10~17年に旧第一製薬出身の中山譲治氏、17年から旧三共出身の眞鍋淳氏と、旧2社から交互に社長を輩出。「S→D→S」の順番で、たすき掛け人事になっているのだ。

 その間の会長は、不在時期を除けば、社長の出身会社“ではない方の”会社出身者が務めた。

 17年から社長兼COO(最高執行責任者)となり、その後社長兼CEO(最高経営責任者)となった眞鍋氏は現在67歳。21年から業界団体の「日本製薬団体連合会」会長も務めており、1期目の任期が終わる23年が社長交代のタイミングとみる向きが強い。

 たすき掛け人事の法則にのっとれば次期社長は「D」の旧第一製薬出身者であり、今春の人事でこの線が濃厚となった。旧第一製薬出身の幹部が“ある重要ポスト”を任されたのだ。