いま、注目を集める研究会がある。わずか2年で約1000人規模へ拡大し、東大新入生の20人に1人が所属する超人気研究会に成長した、「東大金融研究会」だ。創設者は外資系ヘッジファンドに20年在籍し、超一流の投資家として活躍してきた伊藤潤一氏。東大金融研究会ではお金の不安から自由になり、真の安定を得るために「自分の頭で考える」ことを重視している。世の中に溢れる情報や他人の声に振り回されず何が正しいのかを自分で判断し、物事を本質的に理解し、論理的に思考を展開することで、自立した幸せな人生を歩むことができるからだ。本連載では、東大金融研究会の教えを1冊に凝縮した初の書籍『東大金融研究会のお金超講義』から抜粋。頭のいい人だけが知っている「お金の教養と人生戦略」を紹介する。

なぜ東大の卒業生はつるまないのか?Photo: Adobe Stock

誰にも言われていないのに、意識している

東大金融研究会は東大をベースに「MBA的な学びを可能にする場」を目指しています。そのような場をつくろうと考えたのは、「東大出身者のコミュニティがあるべきだ」と思っていたことも理由の1つです。

東大生は、よく「群れない」「つるまない」と言われます。

誰かから具体的に「東大生はつるむべきではない」などと言われた経験があるわけではないのです。しかし、なぜか東大を卒業した人はその多くが「東大生同士でつるむべきではない」ということを意識しています。

あなたの周りに、もし東大卒の人がいたら、思い出してみてください。東大卒の人たちが群れたりつるんだり、派閥をつくったりしている様子は、ほとんど見られないと思います。

有名私学では卒業生の間で特別な関係をつくることがめずらしくありません。しかし東大生は、そのような関係をつくることを避けて生きているところがあります。1つの会社の中で東大生が集まるのは、おそらく新卒採用で後輩の面接をするリクルーティングスタッフになったときぐらいではないでしょうか。

これは不思議な現象です。

たとえばハーバード大学など海外の有名校では、卒業生たちがコミュニティをつくり、それを大切にするのがごく当たり前の光景です。

日本でも大企業の社費留学などでハーバード・ビジネス・スクールを出ている人はたくさんいて、東京にもコミュニティがあるわけです。その中にはもちろん東大の卒業生もいますが、彼らは「ハーバード・ビジネス・スクールの卒業生」としてコミュニティを形成することはあっても、「東大の卒業生」としてコミュニティを形成することはないのです。

私はこのことに、以前から違和感を覚えていました。

個々としてはそれなりに競争力を持つはずの東大出身者たちが決して集まろうとせず、ピンで活動してばかりいるのはもったいない。

東大出身者たちが本来あるべき姿で群れたりつるんだりすれば、そこから新たな価値が生まれる可能性が高いと思うのです。

(本原稿は、伊藤潤一著『東大金融研究会のお金超講義 超一流の投資のプロが東大生に教えている「お金の教養と人生戦略」』から一部抜粋・改変したものです)