世界最先端の革命的認知症治療に取り組む、認知症研究30年超の医学博士。
白澤卓二氏が、患者への指導はもちろん、自身が健康長寿をまっとうするために実際に取り組む食事法を紹介した健康レシピ本『認知症専門医が毎日食べている長寿サラダ』が完成した。
私たちはどうしたら、健康で長生きできるのでしょうか。
この連載では、食事を通して健康長寿を目指す方法をお伝えしていきます。

感染予防と認知症対策が<br />同時にできる食品と調理のコツPhoto: Adobe Stock

認知症対策に有効とわかった
免疫力を高める食品と調理のコツ

 免疫力をアップし、認知症を防ぐために注目のLPS(リポポリサッカライド)。これは主に土の中に存在する細菌の成分で、土の中で育つ根菜やきのこ、海藻などに多く含まれています。人間の体内では作り出せないものなので、食事でとる必要があります。LPSは、腸内環境の改善などにも働き、生活習慣病の予防やアンチエイジングにも効果があります。

泥つき、皮ごとを意識して食べよう

 LPSは土の中に多く存在する細菌の成分ですから、自然な土で栽培されたものにはLPSが豊富です。中でも、できるだけ無農薬や減農薬栽培された、泥つきの野菜を選ぶのがおすすめ。また、LPSは皮に多く含まれますから、食べられる皮はできるだけむかずに調理するとよいでしょう。

加熱しすぎない、水にさらしすぎないのがコツ

 また、LPSは熱に弱いので、長時間煮込んだり、オーブンの高熱で焼いたりしないようにしましょう。また水に溶けやすい性質があるので、水に長時間さらしたりするのも避けてください。生食できるものはできるだけ生で食べたいもの。加熱もさっと炒める、さっとゆでるくらいにするのがおすすめです。サラダなら、LPSを多く含む食材を、効率的においしく食べることができるのです。

免疫力を高める食品

れんこん
 れんこんはLPSが特に豊富です。LPSを効率よく摂取するために、皮つきのまま調理しましょう。加熱が必須ですが、サラダに使うなら、スライサーで薄切りにすればさっと火を通す程度で食べられます。

ピーマン・ししとう
 ピーマンやししとうは、生で食べられるサラダ向きの素材です。油と一緒にとれば、豊富なβ-カロテンの吸収率もよくなりますので、ドレッシングをかけるか、さっと油炒めするのがおすすめです。

小松菜
 おひたしや炒めものが一般的ですが、小松菜はアクが少ないので、生でもおいしく食べられます。LPSの調理損失を抑えるには、生のままサラダで食べましょう。ゆでるなら、熱湯をかける程度に。

ほうれん草
 アクがあるのでさっとゆでてから調理しますが、水に長時間さらすのはNGです。根っこの赤い部分もLPSが豊富です。よく洗って食べましょう。アクが少なく生で食べられるサラダほうれん草もおすすめ。

オクラ
 LPSが豊富なだけでなく、β-カロテンや食物繊維も豊富な優秀野菜です。オクラのLPSを効率よくとるなら、生のまま細かく刻んで食べるのがおすすめ。カルシウムやマグネシウムなどのミネラルもたっぷり。

きゅうり
 そのまま切るだけでOKのきゅうりは、サラダに重宝する野菜。薄切りにしたり、スティック状に切ったりして食感を変えると、毎日飽きずに食べられます。LPS摂取のために常備しておきたい野菜です。

きのこ
 きのこもLPSが豊富な食材です。特にLPSを多く含むのはひらたけです。なめこやしいたけ、マッシュルームもLPSを多く含みます。きのこ全般に含まれるβ-グルカンも、免疫力アップに働く成分です。積極的に取り入れたい食材です。

枝豆・スナップえんどう
 豆類もLPSを多く含みますが、中でもさやごと食べられるスナップえんどうがおすすめです。枝豆はさやごと口に入れて豆を食べ、さやについたLPSもムダなく摂取しましょう。さっと加熱して食べられるさやえんどうもLPSを効率的にとれる野菜です。

くるみ・ごま
 皮ごと食べる種実類はLPSがたっぷり。くるみやごまを常備しておけば、サラダのトッピングなどに重宝します。強い抗酸化作用を持つビタミンEも豊富で、アンチエイジングにおすすめの食材です。

海藻
 わかめやめかぶ、とろろ昆布、のり、ひじきなどの海藻類もおすすめ食材。乾燥しているものはLPSの損失が少ない天日干しのものを選びましょう。とろろ昆布やのりはサラダのトッピングとして使えば、風味もアップ。食物繊維も豊富で、より免疫力アップに働きます。

雑穀シリアル
 白米や精製された小麦にはLPS摂取は期待できません。免疫力を高めるなら、よりLPSの豊富な玄米や雑穀、全粒粉などを選びましょう。手軽なのは雑穀シリアル。食物繊維も豊富で腸内環境も整えます。

りんご
 果物にもLPSは含まれます。おすすめはりんごやなし、いちじく、ももなどです。りんごは皮ごと食べられて、サラダにも組み込みやすいので、LPS摂取のためにたくさん食べたい果物です。

監修 お茶の水健康長寿クリニック院長 医学博士・医師 白澤卓二

 本原稿は、白澤卓二著『認知症専門医が毎日食べている長寿サラダ』からの抜粋です。この本には、脳と体を健康にする「長寿サラダ」のレシピを多数収録しています。一皿で栄養満点のおいしいサラダで脳と体をリセットしてみませんか?(次回へ続く)