ウクライナ戦争「スタグフレーション」の衝撃、70年代石油危機と異なる深刻度ロシアによるウクライナ侵略を契機に、世界経済、とりわけ日本経済は、スタグフレーション(インフレと不況の同時発生)というべき現象に見舞われている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

ウクライナ危機の「衝撃度」
石油危機時を上回る

 ロシアによるウクライナ侵略を契機に、世界経済、とりわけ日本経済は、スタグフレーション(インフレと不況の同時発生)というべき現象に見舞われている。

 このスタグフレーションという現象の発生は、およそ半世紀ぶりだ。前回は、1970年代であり、「スタグフレーション」という造語もこの頃に生まれた。

 70年代のスタグフレーションの主な原因は、二度の石油危機だった。

 第1次石油危機(1973年~)は第4次中東戦争、第2次石油危機(1979年~)はイラン革命という、いずれも地政学的なリスクの発生がもたらした原油の供給制約によるものだった。

 現下のスタグフレーションも、ロシアによるウクライナ侵攻という地政学的な危機によって、原油、天然ガスあるいは小麦などの供給制約が生じたことで起きているが、背景にある先進国経済の構造や地政学的環境は、70年代よりはるかに複雑で深刻だ。