激動!1.5兆円「ペットビジネス」の最新動向Photo:PIXTA

ペット人気で市場の成長が続くペットビジネス産業。在宅時間が増えたコロナ禍では、その人気に拍車がかかりペットを飼う人が急増した。それだけではない。高級フードやITを駆使したペット用品なども続々と登場し、ペットが快適に過ごせるために出費はいとわないという人は確実に増えている。なかでも大切な家族であるペットの健康は、飼い主にとって最も優先度が高く、それに応えるのが動物病院の存在だ。しかし、市場の拡大やニーズの多様化に、今の動物病院が追いついていないという現状もある。そこで今回は、東京・神奈川で8つの病院を持つプリモ動物病院グループのほか、多角的なペットビジネス経営をする獣医師企業家で、『「獣医師企業家」と「プリモ動物病院」の挑戦 QAL経営』の著者・生田目康道氏に急速に進化を遂げているペットビジネスの今とこれからについて、3回連載で伺ってみた。(取材・構成/久遠秋生)

2000年に始まった小型犬ブームは、
ペットを「家族の一員」に

――マーケットが成長し続けているペットビジネスですが、コロナ禍の巣ごもりで、ペットを飼い始める人がさらに増えている印象を抱きます。そもそもこれほど日本でペット人気が高まったのは、どんな経緯があったのでしょう。

生田目康道(以下、生田目) まずは、日本のペット事情について、歴史的背景を簡単にご説明しましょう。

 日本で最初のペットブームは、戦後間もなくの高度成長期の頃。豊かなアメリカの生活に憧れて犬を飼う家庭が増えました。このときはまだ室内ではなく、外に犬をつないで飼うスタイルが一般的でした。

 その後、2000年くらいから10年ほど続いたペットブームが、現在のペットビジネス拡大の起点となっています。ブームの起爆剤となったのが、消費者金融のCMに登場したチワワです。つぶらな瞳とかわいい表情が大人気となり、一大小型犬ブームを引き起こしました。

 この頃からテレビでも犬や猫を取り上げる番組が増え、ペットショップの売り場面積も拡大。ペットを購入しやすい環境が整っていったのです。なぜこれほどの大ブームになったのか。その要因のひとつとして、核家族化がますます進んだことがあります。家族の人数が減ることで、自動的に家族の「定員」に余裕が生まれました。そこに新たな家族の一員として、ペットである犬や猫が加わったといえるでしょう。

 もうひとつは、未婚化が進み単身者が増加したこともあげられます。パートナーや家族の代わりに、ペットに愛情を注ぐ人が多くなりました。

室内で飼える小型犬から
ブームの主役は猫へ

――家族の一員としてペットを飼う人が増えていき、それとともにペット関連のビジネスも拡大していったわけですね。

生田目 昔はペットといえば、外で中型犬を飼うのが主流でしたが、2000年から始まったブームではチワワやダックスフンド、トイプードルなどの「小型犬」が人気となります。住宅事情に制限がある日本では、「室内で飼いやすい小型犬」はニーズに大きくマッチしたのです。

 その証拠に、ペットブームとともに2000年にはペットと暮らせる「ペット共生住宅」が登場します。既存の集合住宅でも、それまでペット不可だった規約を改正する動きも活発になりました。

 日本では、長い間ペットというと犬が主流でしたが、2000年代以降は猫の人気が高まります。ペットフード協会の調査によると、2019年には、飼育頭数で犬と猫が逆転しました。