iPhoneが決済端末に! キャッシュレス決済導入のハードルを下げるTap to Payとは?iPhoneをキャッシュレス決済端末として使えるTap to Pay。この写真では、2台のiPhoneの一つは客の支払い用、もう一つは店舗側の読み取り用端末を想定している Photo:Apple

アップルは、iPhone XS以降のiPhoneをキャッシュレス決済システムの端末にできるTap to Payという新サービスを開始する。米国で2022年後半から提供が予定され、やがて日本にも上陸すると思われるTap to Payは、iPhoneやApple WatchからのApple Pay決済はもちろん、NFC規格のクレジットカードやデビットカードによる支払いの受け皿ともなる。今回は、このTap to Payの概要や展望について書いてみる。(テクニカルライター 大谷和利)

日本でもキャッシュレス決済が普及してきたが……

 キャッシュレス途上国と言われてきた日本でも、最近では現金ではなく、スマートフォンやNFC対応カードで支払いを済ませる人を多く見かけるようになった。この変化には、過去2年間の新型コロナウイルス禍の影響も少なからずあったと考えられる。しかし、理由はともあれ、より多くの消費者がデジタル技術のメリットを身近に感じられるようになれば、社会全体のDXを進める上でもプラスに働くだろう。

 しかし、キャッシュレス決済の中でも、Suicaなどのかざして行うタイプの非接触キャッシュレス決済を導入する側には、決済端末を導入する必要があり、本来はこの端末の価格が初期費用に含まれていたり、据え置き型の端末では屋外イベントなどで利用しにくかったりなど、店舗側が導入をためらう要因があった。

 また、PayPayなどのQRコード決済は、専用端末を使う方式と使わない方式があるが、複製や偽造可能なコードを介して決済を行うため、セキュリティー面でNFCベースの技術に劣る。そして特に、専用端末を使わずにユーザー側でレジ横などのQRコードをスマートフォンから読み取る方式では、アプリの起動→支払い金額の入力→店員による金額確認→「支払う」ボタンのタップというように手順が煩雑で、キャッシュレスであってもスピードや利便性が低下してしまうことが難点だ。

 こうした状況に対し、乱立気味のキャッシュレス決済サービスを提供する側の企業は、初期費用をゼロにして店舗の負担を減らしたり、モバイル対応の決済端末を用意したりすることで、導入時の壁を減らす努力を行っている。