2012年はまれに見る政治の年だった。日米中露仏韓と世界の主要国で、政権が替わるか、新政権が発足した。それを投影して経済も不安定だった。さて、安倍新政権は、対外的には日中、日韓の関係改善という難題を抱える一方、大幅な金融緩和と財政出動を掲げてスタートを切る。政府部門はGDPの200%にも達する借金を抱え、再生は容易な道ではない。「巳年」の巳は草木の成長が極限に達して、次の生命が創られることを意味するという。果たして、日本は再生の糸口を見つけらるのか。そうした状況下、2013年を予想する上で、何がポイントになるのか。経営者、識者の方々にアンケートをお願いし、5つののポイントを挙げてもらった。

主導国なき「Gゼロ」状態からの脱却なるか<br />国内は財政の信認失墜回避の「意志」に注目<br />――三菱総合研究所チーフエコノミスト 武田洋子氏たけだ・ようこ
三菱総合研究所政策経済・研究センター・チーフエコノミスト。 ジョージタウン大学公共政策大学院修士課程修了、1994年日本銀行入行。日本銀行では海外経済調査、外国為替平衡操作、内外金融市場分析などを担当。2009年三菱総合研究所入社。専門はマクロ経済、国際金融。社会保障審議会年金部会委員、年金財政における経済前提と積立金運用に関する専門委員会委員等

①「Gゼロ」状態からの脱却

理由:2012年は世界の選挙イヤーであった。5月のギリシャの総選挙を契機に、同国のユーロ離脱懸念が一気に高まったことは記憶に新しい。また、台湾、ロシア、フランス、米国、中国、韓国など主要国が、選挙もしくは政権交代を迎えた。11月には、米大統領選挙でオバマ大統領が再選されたほか、中国では習近平氏が中国共産党総書記に就任した。わが国も12月の衆議院総選挙で政権交代となった。

 2008年のリーマン・ショック以降、世界のパワーバランスは変化しつつあるが、とくに選挙イヤーの2012年は、主要国のトップが内向き志向になり、国際政治が停滞した面は否めない。2013年は米国、中国、日本のG3で新政権が始動する。主導国がいないという「Gゼロ」状態から抜け出すのか、注目すべき一年となろう。