早大野球部が絶不調、ロッテ「悪夢の18連敗」の教訓よぎる小宮山監督5月10日(火)に行われた早稲田・東大の4回戦。5-1で早稲田の勝利 撮影:須藤靖貴

2022年シーズン、連敗スタートの小宮山・早稲田はその後も調子が上がらず、東大にも2戦連続の引き分けを喫してしまう。そんなとき、小宮山の脳裏には、ロッテ時代に経験した「悪夢の18連敗」の記憶がよぎった。窮地のさなか、小宮山が目の当たりにした同僚の頑張りは、まさに「一球入魂」――。苦しいときにこそ人間の真価が問われる。その気高い精神性を、今の早大野球部に注入することはできるだろうか。(作家 須藤靖貴)

調子が上がらない小宮山・早稲田
東大とも2戦連続の引き分け

 新緑まぶしいゴールデンウイークだというのに、春の風はやけに冷たかった。

 開幕、法政に連敗を喫した早稲田大野球部。「あと8戦、全部勝つ」との意気込みで臨んだ明治戦でも勝ち点を落とした。1勝1敗で迎えた月曜決戦は2‐3で敗戦。5季ぶりとなる3回戦に足を運んだ早稲田ファンからは、マスク越しにため息が漏れるような試合だった。

 そして迎えた東大戦でも調子が上がらない。

 2‐2、6‐6と2試合続けての引き分け。3回戦で4‐0と勝利したものの、2勝で勝ち点獲得となるため、異例の4回戦が組まれる。だが火曜日は神宮球場に催し物が入っていて使用できず、翌週に持ち越しが決まった。

「ほうぼうに迷惑をかける」

 小宮山悟監督は渋い顔をした。ちなみに東大が2試合連続で引き分けたのは史上初めてのことだった。

 小宮山にとって、監督就任以来の厳しいスタートとなった。

「5点取らなければ勝てない」という認識はチームに浸透している。それでも打ちあぐねている。

「積極的にスイングしているけど、結果的にファールになるようではいけない。打てそうな球と見て、なんとなく手を出している。そんなバッターの姿勢は、相手投手を楽にさせてしまう」

 小宮山はそう分析する。「自分こそが打たなければ」と焦り、「打ちたい病」にかかっている選手もいるという。そんな打者の力みを、相手バッテリーに読まれてしまう場面もあったのかもしれない。

小宮山監督の脳裏によぎる
ロッテ時代の「悪夢の18連敗」

 スポーツの場面では、何をやっても裏目に出ることはある。野球の試合ならば、プロ野球・千葉ロッテマリーンズの18連敗を思い出してしまう。当時、小宮山悟はまさにその渦中にいた。