独自の食品機械向け付着防止処理技術で細菌・カビ・ウイルス抑制効果を実現

産官学連携による技術開発を進め、食品関連分野での取得特許数10件。知財戦略を担う人材育成にも注力し、博士号取得社員3人、社会人ドクターコースに通う社員1人が在籍。取引先には日本を代表するメーカーが並ぶ。独自の技術開発力で注目を集めているのが代表取締役・下平英二氏率いるサーフテクノロジーだ。(取材・文/大沢玲子)

独自の食品機械向け付着防止処理技術で細菌・カビ・ウイルス抑制効果を実現代表取締役・下平英二氏(右)、研究開発部研究員・西谷伴子氏

 核となる技術が表面改質技術「マイクロディンプル(MD)処理」。MD処理とは金属の表面に微粒子を超高速で衝突させ、目的に応じた表面形状を作る処理のこと。「一般的なブラスト処理とは異なり、微粒子のため、顧客のニーズに合わせ多様な基材表面に改質が可能です」と同社研究開発部研究員の西谷伴子氏。小麦粉などの粉体のホッパー、ふるい網への付着や目詰まり、ハンバーグ種などの粘性食品のミキサー付着など、食品をはじめ、化粧品、医薬品の粉末などに対し、最も効果的な表面加工を提供できるのが強みだ。

原料の付着抑制に加え
異物混入、食品ロスに効果

 その効果は多岐にわたる。原料の滑り性向上や付着抑制効果に加え、設備の洗浄性の向上、洗浄の時間短縮やコスト削減、フッ素コーティングやメッキと異なり表面剝離による異物混入リスクにも対応。生産性向上や、近年、注視されるフードロス問題にも寄与する。

 さらに2018年からの研究により、新たに効果が証明されたのが抗菌性能だ。抗菌効果の発見につながった一つの契機が、「バイオミメティクス(生物模倣技術)に着目したことでした」と西谷氏。トンボやセミの羽にはウイルスや菌から身体を守る効果があるとされ、学術界では研究を推進。そこで、MD処理による微細凹凸にも抗菌効果があるのではという仮説に基づき、神奈川県立産業技術総合研究所との連携で試験を実施。「MD処理により、大腸菌や黄色ブドウ球菌に対する抗菌性能が付与されることが明らかとなりました」(西谷氏)。