他人とのコミュニケーションは、気を遣うし疲れます。
けれどなるべくラクに、自分らしく、たのしく会話したいもの。そして良い印象も与えたい! ですよね。
この連載では、日本郵政や法務省、日本コカ・コーラ、日産自動車、日本アイ・ビー・エムなど多くの省庁や企業で講演や研修を担当し、15年間にわたって約7万人の老若男女にコミュニケーションを教えてきた『オトナ女子のすてきな語彙力帳』の著者、吉井奈々さんが「自然体のまま」で「相手も自分も大切にするコミュニケーション」のコツをご紹介します。

大切に扱われる人と、雑に扱われる人。「何気ない会話」に現れる差Photo: Adobe Stock

大切にされる人は、会話の結びが丁寧

 大切にされる人は、会話の終え方も上品で素敵です。たとえば、打ち合わせなどの締めくくりに、

「それではそんな感じで」
「あとはよろしくお願いしまーす」

 などと、軽い感じで言っていませんか? もちろん間違いではありませんが、相手に真剣に受け取ってもらいたいときは、

「ご面倒をおかけしますが、よろしくお願いします」

 と伝えてみましょう。何かをしてもらう相手に対して、丁寧な印象を与えられます。

 次の機会に繋げたい相手には、次回をイメージできる言葉で締めくくりましょう。たとえば、

「また、いつでもお声かけください」

 こんな感じでポジティブに終えられると、相手も喜んでくれますよ。

 また、相手の幸せを願う表現で締めるのも素敵です。

「彩り豊かな日々になりますように」

 願いを込めて「~ように」と締めると素敵な余韻が残ります。「またゆっくりお話しできますように」などもいいですね。

 会話の結びは、相手への気遣いやいたわりの気持ちを込めてみてください。

「楽しい」「幸せ」の表現には要注意

 結びの言葉として言いがちな「楽しい毎日をお過ごしください」や「幸せを願っています」。この言葉自体はとても素敵ではありますが、「楽しい」や「幸せ」という表現は、ときにハードルが高いと感じさせてしまうことも。テンプレートのように使うのではなく、相手の状況を見定めて使いたい言葉ですね。

大切にされる人は、相手の体調を気遣っている

 大切に扱われる人は、相手に対する気遣いを欠かしません。たとえば多忙を極める相手や、体調不良の相手には、

「ご自愛ください」
「養生なさってください」

 といった言い回しで会話を結ぶといいですね。「自愛」は自分を大切に、慈しむこと。「養生」は体調を崩している人に向けて使う言葉です。

大切にされる人は、相手の関係者にも気遣っている

 感じのいい人は、目の前にいる相手だけでなく、第三者への気遣いを忘れません。たとえば、

「ご家族にも、よろしくお伝えください」

 この場合の「よろしく」は「適度に」「ほどよく」の意味。自分の気持ちや様子を、相手の言葉で伝えてもらいたいときに使います。

「営業部の皆さんにもよろしくお伝えください」など、相手の向こう側にいる人へもメッセージを伝えられると、ぐっと丁寧な印象になりますよ。

結びの言葉は、相手への思いやりを込めて

 英語の結びの言葉に“Good bye”があります。この言葉の語源は諸説ありますが、“God by”(神のご加護がありますように)という相手の幸せを祈る意味が込められているとも言われています。

 日本語でも、結びの言葉を選ぶときには、相手を思いやる気持ちを大切にできるといいですね。

『オトナ女子のすてきな語彙力帳』では、無理なく自然体でできるコミュニケーションのヒントをたくさん紹介しています。ぜひチェックしてみてくださいね。
(本記事は『オトナ女子のすてきな語彙力帳』をもとに編集しています)