決算書100本ノック2022夏#2Photo:Scott Olson/gettyimages

仏ルノーが電気自動車(EV)部門の分社を表明した。株式市場でガソリン車の評価が凋落していることから、EV新会社の上場によって資金調達を有利に進めようという奇策を講じようとしているのだ。世界でガソリン車部門とEV部門を分離する動きが相次ぐ中、日系3社はどう動くのか。特集『決算書100本ノック!2022夏』(全21回)の#2では、日系3社でEV分社に踏み切る切迫度が高い企業をキャッシュフロー計算書の分析により炙り出す。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)

「週刊ダイヤモンド」2022年6月25日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

きっかけは仏ルノーのEV分社宣言
日系3社は奇策を講じるのか

 日産自動車で「電気自動車(EV)部門の分社化」問題が取り沙汰されている。きっかけは、日産とアライアンスを組む仏ルノーによる「EV分社宣言」にある。

 ルノーはEVシフトに対応するため、ガソリン車事業とEV事業を分離し、2030年時点でEV専業メーカーになることを目指している。EV部門を本体から切り離し、分社後のEV新会社を上場させることで、新たな資金調達策を模索しているのだ。

 そこで重要になるのが、日産の動きだ。ルノーがEV新会社の企業価値を上げるためには、(ルノーよりも)EV関連技術に定評のある日産の協力が不可欠とみられている。それ故ルノーに巻き込まれる形で、日産がEV分社の協調路線を迫られるのではないかとの観測が高まっているのだ。

 世界的な脱炭素シフトにより、株式市場ではガソリン車を製造する自動車メーカーの評価が凋落している。翻って、米テスラなどEV専業メーカーの市場評価は高い。

 今後、ガソリン車部門とEV部門を分離する動きが加速することは間違いない。すでに米フォード・モーターでも両部門を分離する社内分業体制を敷き、独立採算制度を導入することを決めている(EV部門の分社については否定)。

 世界の自動車メーカーの潮流を受けて、トヨタ自動車、ホンダ、日産の日系3社がEV分社に踏み切る可能性はあるのか。

 次ページでは、財務3表の一つである「キャッシュフロー(CF)計算書」をひもとき日系3社の「EV分社」切迫度を検証した。最も切迫度の高いのはどの企業なのか。