賢者は歴史に学ぶ!歴史入門#3Photo:Keystone/gettyimages

ロシアがウクライナへの軍事侵攻に踏み切って以来、早くも4カ月が経過した。出口の見えないウクライナ侵攻は、泥沼化が懸念される。特集『賢者は歴史に学ぶ! 歴史入門』(全14回)の#3では、ウクライナ侵攻の展望を、近現代史上の二つの戦争を基に見通した。(ダイヤモンド編集部 杉本りうこ)

「週刊ダイヤモンド」2022年6月18日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

ウクライナ軍事侵攻と
満州事変・ベトナム戦争の類似点とは?

 ウクライナへの軍事侵攻が始まってから、すでに4カ月がたった。停戦のめどは立たず、ウクライナ情勢は混迷の度合いを増す一方だ。そして今後の展望も、さらなる泥沼化が懸念される。近現代史がそう暗示しているのだ。

「ロシアと国民を守るには、他に方法がなかった」。ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ侵攻を開始した日の演説でそう述べた。

 プーチン氏は侵攻開始の3日前、親ロシア派が支配するウクライナ東部ドンバス地方の2州(ドネツク、ルガンスク)を独立国として承認。その上でこれらの地域へのロシア軍派兵を決めた。地域のロシア系住民を「ウクライナの暴力」から守り、ロシアへの脅威に対する正当防衛を行う――これがプーチン氏の論理である。

 プーチン氏の振る舞いと同じように、他国の一地域に傀儡(かいらい)政権をつくり、その後全土を戦争に巻き込んだ例として知られているものが、近現代史上に二つある。満州事変とベトナム戦争だ。いずれも泥沼の戦争を招き、仕掛けた国に大きな代償を払わせた。