日本銀行Photo:PIXTA

止まらない円安
世界からの投機が円に集中

 急激な円安が進んでいる。

 円ドル相場は今年の3月初めに1ドル115円台だったが、6月中旬には135円台と、約17%の円安になり、21、23日に続いて29日も一時136円台と約24年ぶりの円安水準になった。

 世界各国の中央銀行が一斉に利上げを行っている半面で、日本銀行が大規模金融緩和を維持する姿勢を崩しておらず、長期金利を0.25%に押さえ込んでいるからだ。

 アメリカとの間で金利差がある限り、円で資金調達をしてドルで運用するという「キャリー取引」が利益を生む。この取引は円安を進めるので、とめどもなく円安が進む可能性が強い。

 これまでは低金利を続けていたスイス・フランもキャリー取引の対象だったが、16日に利上げをした直後に、フラン高に転じた。

 ヨーロッパ中央銀行が7月に利上げを行う予定なので、主要国通貨の中では日本円だけがキャリー取引の対象となり、集中攻撃を受ける可能性がある。

 世界中からの投機の嵐に晒されるわけだ。このままでは、今後、円安がどこまで進んでも、不思議はない。

 際限のない円安スパイラルに落ち込んでしまう危険がある。