「4つの不」がわかれば、売れない営業の「売れない理由」が見えてくる

発売当初から「新しい営業の教科書」として話題となっている『NEW SALES』。この本のもっとも大きな特徴は、とにかく「売れる営業担当と売れない営業担当」「売れる営業組織と売れない営業組織」の違いを徹底的に分析、解明しているところだ。じつは、売れる営業担当は「失注した理由」をはっきりと掴んでいて、売れない営業担当ほど「失注した理由」がわかっていない。だからこそ、同じ失注でも次につながるか、つながらないかで大きな差を生んでしまう。
今回は『NEW SALES』の著者・麻野耕司さんに「失注した理由」をどのようにキャッチするのか、その真髄を聞いた。キーワードは「4つの不」。営業に関わるすべてのビジネスパーソン必読の珠玉のインタビュー。(取材・構成/イイダテツヤ)

売れる営業と売れない営業の
決定的な違いとは

――『NEW SALES』で麻野さんは営業担当が失注してしまう理由として「4つの不」を挙げられています。この視点なぜ大切なのか。そのあたりを詳しく教えていただけますか。

麻野耕司(以下、麻野):「4つの不」は本当に大事ですよね。

① 不信 ② 不要 ③ 不適 ④ 不急

これは「営業プロセス」の話ですが、多くの営業パーソンに「あなたの営業プロセスを教えてください」と聞くと、大体、次のような答えが返ってきます。

まず会社紹介をして、ヒアリングして、提案して、クロージングする。

よくある流れですが、これってすべて自社視点なんです。全部「こちらがしたいこと」を言っている。これでは売れません。

反対に、売れる営業担当は常に顧客視点で動いています。

何かを買うとき、顧客がまず何をするかと言えば、情報収集です。例えば「電子契約のシステムを検討したい」と思ったら、その分野のことをいろいろ情報収集します。その上で「うちにシステムを導入するなら、ポイントはここだな」と課題設定をして、そのあとで何社かから電子契約システムの話を聞いて、比較検討していくんです。その先で予算をとるために稟議を上げる。だいたいそんな流れです。

なので、売れている営業パーソンに「あなたの営業プロセスを教えてください」と聞くと、顧客目線の、顧客の流れに合わせて「まず情報提供をして、課題設定に合わせた課題の訴求をします。その上で、比較検討に合わせた比較訴求をして、それぞれの会社の稟議に合わせた稟議の支援をします」というような話になるんです。

「顧客目線」の営業プロセスを組み立てているか。ここがまず重要なポイントになります。「4つの不」を理解するにも、まずこの前提を理解する必要があります。