保険ラボ

6月に入って4社目の発覚
日本生命で金銭詐取事件

 生命保険業界で相次ぐ、営業職員による金銭詐取事件。6月30日、業界盟主の日本生命保険で金銭詐取事件が発覚した。

 下図は今年度に入って発覚した金銭詐取事件だ。

 営業職員による金銭詐取事件は、今や生保業界最大の懸案事項になっている。きっかけは2020年10月に発覚した、第一生命保険の19億円超に及ぶ金銭不祥事件。その後、第一では社をあげて伏在調査を実施し、新たに複数の金銭詐取事件が明らかになっている。

 だが「金銭詐取事件などの不祥事は、第一だけではない」と業界内でささやかれていた通り、各社で次々に発覚。メットライフ生命保険では、21年12月と22年4月に金銭詐取事件があったことが分かり、加えて大樹生命保険では、顧客の意向に沿わない形で、一家族に対して46件もの多重契約を結ばせる事件があった。

 22年6月になってからは、明治安田生命とソニー生命保険、大同生命保険、日本生命で金銭詐取事件が相次いで公表され、業界内外に対して、第一の事件が氷山の一角であったことを、まざまざと見せつけてしまったわけだ。

 ゆえに生保業界は、世間からも金融庁からも厳しい視線を向けられている。とりわけ、金融庁は相次ぐ金銭不祥事を重く見ており、再発を防ぐ実効性のある指針を作るように生保業界に求めているのは、すでに今年の保険特集で詳述したとおりだ(参照『金融庁が迫る生命保険「営業職員ガイドライン」攻防戦、第一生命社長に“重すぎる宿題”』)。

 生保業界はそんな金融庁の圧力をかわしていたが、今回、日本生命で発覚したことで、金融庁の要請を飲むことは避けられないという空気になりつつある。