アパグループが名物創業者・元谷外志雄氏から代替わりし、長男・元谷一志氏がグループ社長兼CEOに、次男・元谷拓氏がグループ専務に就任した。新経営体制では何が変わるのか。アパホテル代表取締役専務も務める拓氏に話を聞いた。【インタビュー前編】(ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)

創業者が50年間、黒字経営
新たな挑戦をしながら生き残る会社へ

――アパグループ創業者の元谷外志雄氏が「代表」の肩書から会長になり、(外志雄氏の長男の)元谷一志氏がグループ社長兼CEOに、(次男の)元谷拓氏がグループ専務に就任しました。なぜ、今のタイミングで新経営体制に移行したのですか。

 コロナ禍が2年ちょっと前から始まって、同業他社は何百億円も赤字を出したり、ホテルを休業したり売りに出したり、従業員を雇い止めしたりしました。

 一方、当社はできる限りそうしないで、21年も新築と買収で27ホテル増やしました。20年も同じく27ホテル増やしています。22年も順調に開業を続け、23年も予定しています。

アパホテル専務が語る「父母の帝王学」、世代交代で何を残し何を変える?もとや・たく/1975年石川県小松市生まれ、中央大学経済学部卒。北陸銀行に3年間勤務後、アパグループに取締役として入社。常務取締役、アパホテル代表取締役専務に就任。

 一部のホテルは地方自治体や政府からの要請で、新型コロナウイルス感染者への一棟貸しもしました。何万件、何十万件も入っている宿泊予約を全部キャンセルして他のホテルに振り替えるなど、お客さま対応は大変でしたし、風評被害もありました。しかし、この国が医療崩壊したらもっと大変なことになると、元谷外志雄の判断で、全面的に協力した2年間でした。

 1971年に創業してから51年、創業者が経営して黒字を出し続けている会社は、日本中、いや世界を見渡してもほとんどないでしょう。

 そうした中、元谷外志雄が79歳になりました。まだ健康で判断ができる時に世代交代しよう、時代が大きく変化する中、新たな挑戦をしながら生き残る会社になろう。21年5月に創業50年を迎えたのを区切りに、シフトしていくことになったのです。

――新たな挑戦とは?