「女性の社会進出が日本の経済成長のカギ」(IMF報告書)、「2020年までに各分野で指導的立場の女性を30%に」(内閣府男女共同参画局)…いずれも頷ける話です。しかし、福沢諭吉が男女同権論を唱えて150年、なかなか日本社会の男性優位は崩れません。それは、国内の政策議論や人事制度議論では見落とされる、日本ならではの理由があるからです。

オジサンたちが怖い
~外国人女性に好かれない日本の男性社会

第1回コラムをさらに充実させるかたちで昨年末に出版した「日本人こそ見直したい、世界が恋する日本の美徳」(ディスカバー携書)で書いたとおり、私たちが、自信をもって世界に発信すべき日本の素晴らしい点は数多くあります。しかし、日本の極度な男性優位社会については、多くの外国人女性が好感を持っていません。例えば、資本提携など何らかの理由で、日本の企業と仕事をせざるを得なくなった欧米系企業の役員や部課長級の女性が、よく筆者に次のような質問をしてきます。

「日本の企業を訪問したら、受付で若い女性が可愛い笑顔で迎えてくれる。次に指の先まで綺麗にした中年女性がやってきて会議室まで案内してくれる。ところが、会議室に入ってくるのは年配の男性ばかり。なぜ、ここまで男女の役割分担がはっきりしているの?」

「日本のパートナー企業からでてくる人たちは、皆年配の男性。私のような若手の外国人女性との交渉や協業はやりにくいのでは?」

「日本出張中に飲みニケーションに誘われた時、お断りしたらまずいかしら?日本人男性の中に私が紅一点というのは変じゃない?日本人女性みたいに私から男性にお酌しないとだめかしら?」

 このように彼女たちは、オジサン達に違和感を覚え戸惑います。中には、一緒に仕事するのは怖いと言う人さえいます。それもそうです。上級管理職に関する国際比較データでも明らかですが、彼女たちは自国でも他の多くの国々でも、相手(部課長クラス以上)が女性である確率が10人に3~5人という環境で働いています。これが日本だと、その確率が20人に1人となり、よほど運が良くない限り相手は全員男性です。また、この傾向は、企業に限らず、公務員や政治家の世界でも同じです。