役職定年の悲哀#10Photo:PIXTA

いわゆる大手証券会社といえば、野村證券と大和証券グループ本社だが、実力次第で若手を登用する野村證券に対し、役職定年制度がありながらもポイントをためれば昇給する大和と両極端。一方、インターネット証券では、業容拡大中のSBIホールディングスは実力主義を貫いている。SBIではシニア社員でも執行役員への昇格もあり得るのだ。特集『中高年の給料激減!主要企業のデータ初公開!大企業の5割導入 役職定年の悲哀』(全17回)の#10では、そうした証券業界のシニア活用の現場に迫る。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

野村とSBIは実力次第の給料
大和は役職定年&認定制度あり

 証券各社の業績は浮き沈みが激しい。株式や債券など世界的な経済情勢、つまり外部環境に大きく左右されるからだ。事実、2022年3月期の業績においても、上期と下期で大きく明暗が分かれた。

 米株式市場が高騰した上期は、国内証券各社の業績はおおむね好調だった。だが、22年1月に世界的に金利やインフレ率が上昇したのに加え、2月にはロシアがウクライナへの侵攻を開始。株式市場に冷や水を浴びせられた格好となり、今年1~3月期の証券各社の業績は大きく沈み込んだ。

 かつて投資信託の回転売買などが問題となり、ストックビジネスにかじを切ってきた証券各社だが、こうした外部要因による業績変動からは逃れることができない。その業績に応じてボーナスの額が上下するのも、いわば証券マンの宿命といえる。

 故に、証券マンの給料は実力主義というのが大前提であり、パフォーマンスが高ければ、それに見合った高給が支払われる仕組みだ。そうした証券業界に、他の業界と同じような役職定年制度はあるのだろうか。

 役職定年制度とは、一定の職位や年齢になると職を解かれ、部下なしとなる制度のことで、多くは給料が激減してしまう。大手証券会社である野村ホールディングスや大和証券グループ本社に加え、銀行業にまで業容を拡大中のSBIホールディングスでは、どのような人事施策やシニア活用を行っているのか。次ページ以降で、年齢や等級、給料の減少幅などを具体的に詳述していこう。