役職定年の悲哀#12Photo:leminuit/gettyimages

65歳までの定年延長制度を導入した日本生命保険や第一生命保険、明治安田生命保険、住友生命保険の大手生命保険会社は、役職定年制度も廃止。その中で緩やかなポストオフ制度を導入している第一生命や、親会社ほどではないが役職定年制度があるソニー生命保険。特集『中高年の給料激減!主要企業のデータ初公開!大企業の5割導入 役職定年の悲哀』(全17回)の#12では、横並びながらも微妙に異なる各社のシニアの待遇を詳述した。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

大手生保にもはや役職定年はなし
ポイントは「定年延長」

 生命保険業界のガリバーである日本生命保険を筆頭に、第一生命保険と明治安田生命保険、住友生命保険の4社が、いわゆる大手生保と呼ばれている。各社はそれぞれに数万人規模の生保レディーを抱え、日本全国津々浦々で日夜、生命保険の販売にいそしんでいる。

 生保村――。時にそうやゆされるほど、金融当局対応や有事の際の対応などにおいて、横並び意識が異常に強い業界だ。そうした生保業界にあって、役職定年制度はあるのだろうか。

 役職定年制度とは、一定の職位や年齢になると職を解かれ、部下がいなくなる制度のことで、多くは給料が激減してしまうことをいう。結論からいえば、かつて大手4社には役職定年制度かもしくはそれに類する制度があったが、今はない。そして、この4社に共通するのは、65歳まで働ける定年延長制度を導入していることだ。

 大手生保でいち早く定年延長を導入したのは明治安田生命で、2019年度のこと。「総合職(シニア型)」として、60歳を越えても管理職として働ける制度に改定した。残り3社はというと、21年4月にそろって65歳定年制を導入している。

 むろん、定年が65歳まで延長され、管理職として働けるようになったといっても、それまでの待遇が維持され、ばら色というわけではない。その運用は実にさまざまだ。

 次ページ以降では、日本生命と第一生命、明治安田生命、住友生命の4社それぞれのシニア活用の運用に加え、親会社ほどではないにせよ、役職定年制度を導入しているソニー生命保険について詳述していこう。年齢、役職、給料の減額幅、出向の有無など待遇の変化を具体的にお伝えする。横並びではない各社の違いが浮き彫りになった。