飯盛徹夫・オリエントコーポレーション社長Photo by Masato Kato

カードショッピングやキャッシング機能などを提供する「カード・融資事業」や、家賃決済保証や売掛金決済保証などを行う「決済・保証事業」、オートローンなどを展開する「個品割賦事業」など、幅広く事業を展開する信販大手のオリエントコーポレーション(オリコ)。2年前、みずほ信託銀行社長から“電撃”転身した飯盛徹夫・オリコ社長に、5月に発表した新中期経営計画で目指す事業構造の転換について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 新井美江子)

オリコ社長が剥落を覚悟する
二つの“追い風効果”

――2020年4月にみずほ信託銀行社長から、信販大手のオリエントコーポレーションの社長に転身しました。“外部”の目に、オリコはどう映りましたか。

 そもそもオリコは06年に可決・成立した改正貸金業法により、事業構造を大きく変えざるを得ない二つの課題に直面しました。一つは、貸金業者は、利用者の年収の3分の1を超える貸し出しを行ってはならないという総量規制。もう一つは、いわゆる「グレーゾーン金利」の撤廃(上限金利の15~20%への引き下げ)です。

 06年3月期の、事業収益に占める融資事業(クレジットカードのキャッシング事業)の割合は52%もありましたので、まさに会社がなくなるレベルの緊急事態です。利息返還請求への対応や収益の低下が不可避となり、07年3月期には4613億円の最終赤字に転落しました。

 そこでオリコは、(金融機関の個人向けローンにおける保証業務を行う)銀行保証事業や、クレジットカードのショッピング事業の拡大など、収益源を多様化することで営業収益を確保する方向にかじを切っていった。実際に、22年3月期の事業収益に占める融資事業の割合は9%まで減っています。そういう意味では、オリコは事業構造改革に成功したといえます。

 しかし、です。実はその裏では二つの外的要因が生じており、収益が他律的に押し上げられていた部分があるのです。これらの要因を排除して会社の“実力値”を正確に認識し、打つべき手を打つべきだというのが、着任して半年くらいした頃の僕の感覚でした。

 特に足元では、そうした二つの要因の効果がいよいよなくなろうとしています。だからこそ今期から始まった新中期経営計画では、事業構造の転換に着手しようと考えています。

オリコに吹いていた追い風とは何だったのか。また、オリコは本中計期間中にどう事業構造を転換していくつもりなのか。市場が成熟する日本では、融資事業や、オートローンといった個品割賦事業の劇的な残高拡大を期待するのは現実的ではない。カード事業も、手数料の引き下げ圧力が強まるばかりだ。次ページでは、そんな逆風下にあるオリコの勝ち残り策を、飯盛社長が語る。