【数字から保険を読む】#17 標準責準と販売資格者登録制度が【2022年4月】から開始

悪質な保険商品の代名詞とされる
外貨建て保険は本当に悪者なのか?

 2022年4月――。

 外貨建て保険といえば、近年では生命保険業界外の人たちから極めて悪質な保険商品の代名詞として語られることが多い。この保険商品が生保会社の不誠実さを如実に表しているかのごとく書かれた記事は、枚挙にいとまがない。

 しかし、日本において長期間にわたって低金利環境が継続し、お金を銀行に眠らせておいてもほとんど増えない。そのような環境下で、米ドルや豪ドルといった金利の高い外貨で運用することにより、期待値ベースで高い利回りが見込める外貨建て保険は、決して悪い保険であるとは思えない。

 では、なぜこれだけ悪者視されるのか?今回はこの外貨建て保険について解説していきたいと思う。

日本における外貨建て保険の販売

 前述の通り、日本においてはバブル崩壊以降、長期間にわたって低金利環境が続いてきた。かつての円建ての貯蓄性商品の代表格であった、個人年金保険や養老保険はすっかり魅力を失ってしまっている。このような中、2000年代初めから、貯蓄性商品として変額年金保険が人気を博してきた。お客さまが選択したファンドによって高い運用利回りが望める保険商品であり、当時の実績運用利回りは非常に高い数値になっていたと記憶している。

 その中でも、年金原資の最低保証付き変額年金保険は特に人気が高く、大手銀行や大手証券会社が積極的に販売。メインターゲットは60代以上の富裕層で、保険契約1件について、一時払いの保険料は平均して500万~1000万円と極めて高額だった。個人が所有する金融資産を分散投資するための一商品として、変額年金保険が活用されるケースが多かったようだ。

 しかし、リーマンショック以降は、一世を風靡(ふうび)した変額年金保険の販売は下火になり、代わりに外貨建て保険が貯蓄性商品の主役に躍り出た。以後、外貨建て保険が生保業界における代表的な貯蓄性商品に位置付けられており、今日では多くの生保会社が、銀行窓販のみならず、多くの販売チャネルで主力商品として取り扱っている。

 営業としても、売りやすい保険商品であることから、生保会社内部において商品開発部門に新規開発を依頼するケースが非常に多くなっている。

 その一方で、販売量が増えるに従って苦情も増加し、外貨建て保険の評判を落とす要因の一つとなっている。むろん、生保会社もその対策に取り組んだり、生命保険業界全体で新たなルールを導入したりしている。それらの中身を詳述していこう。