日本の代表的ゴキブリ6種の生態解説、実は「野外暮らし」が圧倒的多数派Photo:PIXTA

ゴキブリは民家に出没する印象が強いかもしれないが、実は世界でも日本でも、野外に生息する種が圧倒的多数派である。今回は、日本で見つかっている64種(2022年5月時点)のゴキブリのうち、野外に住む3種を含めた6種を紹介する。あまり知られていない“森に住むG”の実態とは――。磐田市竜洋昆虫自然観察公園の職員・柳澤静磨氏の著書『ゴキブリ研究はじめました』(イースト・プレス)から一部抜粋して解説する(イラストはかわさきしゅんいち氏)。

まずは“日本代表”6種のうち
家に出るゴキブリ3種をみていこう

 暖かさや湿気、食べ物がそろった場所は、ゴキブリにとって天国です。彼らからすると森の中も人家も区切りはなく、遠慮もありません。生息に適していれば、侵入して生活を始めてしまいます。

 たくさんの種類があるゴキブリですが、屋内に出てくるのはどのようなゴキブリなのでしょうか? 「人は、得体のしれないものに恐怖を感じる」と言います。彼らの名前や見分け方を知っておけば、怖さは多少薄れるかもしれません。すべての種を取り上げることはできませんが、ここでは日本にいる代表的な3種についてご紹介したいと思います。

クロゴキブリ

 家庭に出没するゴキブリの多くは、このクロゴキブリです。成虫の体長は約25~33ミリで、ゴキブリと聞くと多くの方は本種を想像するのではないかと思います。

日本の代表的ゴキブリ6種の生態解説、実は「野外暮らし」が圧倒的多数派クロゴキブリの特徴(「ゴキブリ研究はじめました」P.27より転載)

「クロゴキブリ」という名の通り光沢のある黒い体が特徴ですが、よく見ると上翅は赤褐色です。流線形のフォルムには、スポーツカーのようなカッコよさがあります。

 なお、彼らは屋内だけでなく野外にもたくさん生息しています。クワガタ採集に出かけたら樹液にクロゴキブリがついていた、という経験を持つ方もいるかもしれません。北海道~沖縄諸島(沖縄本島)に分布しています。