百花繚乱のレシピサイトで、食事制限のある疾患を持つ人に専門特化した「クックドック」の持つ可能性各種生活習慣病を含む8つの疾患別にレシピを投稿・提案する「クックドック」。レシピ検索用と投稿用の2種類のiPhoneアプリも提供している

「健康は日々の食事から」とはわかっているものの、毎日、栄養面を考えてまで調理を行うのはおっくうなもの。主婦に限らず、単身赴任中のビジネスパーソンなどにとっても、頭の痛い問題であるだろう。

 そんなときに重宝するのが、手軽に献立を参照できるレシピサイトだ。主婦層がよく利用するサイトの上位に「クックパッド」が常にランキングされているように、レシピサイトはソーシャルウェブサービスの中で最も受け入れられているサービスといえる。それだけに競争も激しく、「ぐるなびレシピ」「みんなのきょうの料理」「いえのみ.com」など、百花繚乱の感がある。また、海外ではレシピ検索やコミュニケーション機能に特化した「Foodily」なども注目を集めており、レシピサイト戦国時代はまだまだ続くといえそうだ。

 こうした中、新たな方向性のひとつとして着目したいのが「専門特化型」のレシピサイトだ。広島に本社を置くエス株式会社がこのほどリリースした「クックドック」は、食事制限のある疾患を持つ人たち向けのサービス。「食事制限に悩む人に料理を通して笑顔を」をコンセプトに、「糖尿病」「高血圧」「動脈硬化症」「肝臓病」「腎臓病」「痛風」「がん予防」「ダイエット」の8つのカテゴリに特化したレシピを提案している。

「世間には、さまざまな疾患を悩みとして抱え、食事制限を余儀なくされている方が多くいらっしゃいます。食事は日ごろの大きな楽しみです。しかし、食事制限に対応した料理は質素で味気ないため、おいしくないのが現状で、これでは食事の楽しみも半減してしまいます。そうした状況を改善し、食事制限が必要な人にも楽しい食事をお届けできればという思いで開発しました」(エス株式会社企画開発部 尾崎広貴氏)

 疾患別の病態食や健康管理食を家庭で作るには、カロリーや塩分計算などを厳密に計算する必要があり、通常の食事に比べてはるかに手間と時間がかかる。現在は、病態食の宅配サービスも多く登場しているが、さまざまな負担を考えると、できるだけ家庭で賄いたいと考える人が多いであろうことは想像に難くない。

「クックドック」では、一般ユーザーによるレシピ投稿・共有のほかに、栄養士会監修によるレシピも掲載されており、カロリーと栄養素を厳密に算出。冷蔵庫にある食材や調味料で簡単に作れるレシピを栄養サポートのコメント付きで紹介している。同じ悩みを持つユーザー同士による相互扶助と同時に、プロの栄養士からの情報を得られる点が心強い。

「今後は、管理栄養士監修レシピの拡充や、有名料理家・シェフに参加してもらうことを考えています。また、レシピを投稿する際に食材と量を入力するだけで自動的にカロリーや塩分、栄養素が算出される機能なども実装する予定です」(同氏)

 オープン間もないこともあり、レシピ数はまだこれからというところではあるものの、必要とするユーザーが確実に存在する分野ではある。それだけに今後の展開に期待したいところだ。個々の症状は千差万別なので、医師または栄養士に具体的な献立指示を受けたうえで、上手に利用するとよいだろう。

(中島 駆/5時から作家塾(R)